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写真●電通の上席常務執行役員メディア・コンテンツ本部副本部長,杉山恒太郎氏
写真●電通の上席常務執行役員メディア・コンテンツ本部副本部長,杉山恒太郎氏
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 電通の上席常務執行役員メディア・コンテンツ本部副本部長,杉山恒太郎氏は2008年6月11日,幕張メッセで開催されているInterop Media Convergence TOKYO 2008において「進化する,クロスメディア。」と題した基調講演を行った(写真)。

 杉山氏は冒頭,クロスメディアについて「広告会社の手法のように思われているが,それは違う。生活者自身が複数のメディアを行き来する生活をしており,クロスメディアは生活者自身の行動を表す言葉だ」と言及。そのうえで,広告会社におけるクロスメディアとは「複数のメディアを使って消費者の購買行動の文脈,シナリオを作ってあげること」と定義した。

 クロスメディア展開事例として,「続きはWebで」の代表例でもある芝浦アイランド,ライフカードのテレビCMを紹介。特にライフカードについては,テレビCMの放映とWebサイトのページビュー(PV)が連動しているグラフを見せて,消費者がテレビとインターネットの両方を活用しているクロスメディアの実態を表しているとした。杉山氏によると,こうしたテレビとパソコンの二つのメディアを活用するユーザーは一般的にダブルウィンドウ族と呼ばれ,最近ではこれにケータイを足してトリプルウィンドウ族と呼ばれているという。

 杉山氏はケータイの登場によってクロスメディアは第2ステージに突入しているとする。デバイス別の世帯普及率を見ると,テレビの世帯普及率が98.9%なのに対し,パソコンは63.2%。一方,ケータイは82.8%と既にパソコンを抜いている。この圧倒的な世帯普及率に加え,パソコンを知らない,持たない20代が増加。昨年,ミクシィが運営するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「mixi」において,ケータイ経由のアクセスがパソコン経由を上回ったことに触れ,パソコンとケータイの間で「読む」「書く」というデバイスの逆転現象が起きていることを指摘した。

 また,杉山氏はメディアによって求められるコンテンツが異なる点にも触れた。ニコニコ動画を例に挙げ,ネットでは他人と共有でき,かつ参加しやすいコンテンツが支持されるとした。テレビの世界では「お茶の間」という言葉は死語となっているが,ニコニコ動画はまさに擬似的なお茶の間を作り出しているサービスだと分析。運営するニワンゴ取締役の西村博之氏について「彼はテレビのことをよく理解している一人だ」と評価した。

 杉山氏は,ユーザーがメディアを行き来している現状を正しく認識し,変化や動きを捉えることが,消費者の行動プロセスにもとづいてクロスメディア展開をしかける企業にとって重要だと主張。その上で,今後,クロスメディアが普及するための課題の一つとして,ケータイメディアの閉鎖性を挙げた。オープンなインターネット環境と同様に,どのキャリアのケータイからでも同じ,かつ簡単な操作で消費者を誘導できるようにならなければならないとし,こうした課題をクリアしていけば,パソコンと並ぶメディア間のハブとしてケータイが大きな飛躍を遂げると期待を述べた。

【6月13日お詫びと訂正】公開当初、本文3段落目冒頭に「電通が手がけたクロスメディア展開事例として」と記述していましたが,「クロスメディア展開事例として」が正しい記述となります。芝浦アイランドは電通が手がけていますが,ライフカードはアイアンドエス・ビービーディオー(東京都中央区)が手がけています。お詫びして訂正いたします。(本文は修正済みです)