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写真1●アクセンチュアの通信・ハイテク本部エグゼクティブ・パートナーである堀田徹哉氏
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写真2●伸び悩む日本のメディア・コンテンツ市場
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写真3●“消費者の財布”を狙ったコンテンツの成功事例
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写真4●今後の成長が期待できるとするコンテンツ例
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 サービスそのものは活況に映るデジタルコンテンツ配信。しかし,コンテンツ配信におけるビジネス観点からの実感,つまり“マネー”の恩恵を受けている人はどれだけいますか──。千葉県・幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2008」で6月11日,特別公演をしたアクセンチュアの通信・ハイテク本部エグゼクティブ・パートナーである堀田徹哉氏は,会場に向けてこう問いかけた。

 「覚醒するインターネット」をテーマとするInterop Tokyo 2008。インフラのさらなる進化と普及が期待されるコンテンツ配信サービスは,通信分野における代表的なトレンドの1つだ。しかしその一方で,コンテンツ配信サービスの収益モデルはいまだ発展途上。関連事業者にとって,ビジネス観点における“覚醒の条件”をいかに探るかが大きな課題となっている。

 堀田氏は「デジタル・コンバージェンスビジネスの収益モデル」と題した講演の中で,収益に結び付きづらい現状のコンテンツ配信ビジネスの分析と,今後の成長が期待できる収益モデルの方向性を示した。

パッケージがネットに流れているだけ

 堀田氏の言うデジタル・コンバージェンスビジネスとは,コンテンツ配信にたずさわるコンテンツ制作事業者からそれを閲覧するデバイスのメーカーまで,さまざまな業界が融合して新たな価値を提供すること。その先駆的な事例として分かりやすいのは,コンテンツ管理ソフト「iTunes」と携帯音楽プレイヤー「iPod」を連携させ,パソコンで楽曲を大量に保管し,好きなコンテンツをモバイル機器で持ち歩くスタイルを提案したAppleの事例だ。

 このAppleの事例は,音楽分野におけるデジタル・コンバージェンスビジネスの大きなけん引役となった。さらには,動画の視聴やテレビとの連動などでマルチコンテンツ・デバイスでの広がりも見せている。この流れを熱狂的に受け入れる消費者は多く,音楽業界を中心にさまざまな業界へ影響を与えている。

 パソコン・携帯電話とインターネットの普及で,世界中の消費者がマルチデバイスでマルチコンテンツを楽しむ利用形態に移行しつつあり,事業者もこの流れに合わせたサービスを次々と提案。日本でもメディア・コンテンツとしてはソーシャルネットワーキングサービスの「mixi」,動画共有サイトの「ニコニコ動画」などが人気を集めている。デバイスとしては,ネット接続機能を持つ次世代ゲーム機「wii」などが注目されている。

 しかし,メディア・コンテンツ業界の市場規模という観点から見ると,「国内市場はパッケージの市場規模がオンラインに流れているだけ」(堀田氏)という。実際,パッケージとオンラインを合わせた2007年度の国内メディア・コンテンツ市場規模は対前年度比で1%の成長にとどまっているという。

業界の垣根を超えて

 堀田氏はメディア・コンテンツの市場規模が広がらない理由として,コンテンツの質とそれを生み出す業界構造の問題に言及しつつ,「メディア・コンテンツにおけるエンターテインメント分野にのみ着目しているからではないか」(同)と指摘する。その上で,「“消費者の財布”と“企業の財布”の中身に着目すれば,ビジネスチャンスは広がる」との考えを示す。

 そもそも消費者のエンターテインメント・コンテンツへの平均的な支出は,総支出の2%に過ぎないという。従って,エンターテインメント分野だけでなく,教養・スポーツやヘルスケア・医療関係など別枠の支出のある市場を狙ったコンテンツを提案すべきだと言うのだ。

 最近では,携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」用ソフトの「脳を鍛える大人のDSトレーニング」が教養分野,全身運動を伴う新型コントローラ付きのWii用ソフト「Wii Fit」がヘルスケア分野でヒットした。堀田氏はこれらエンターテインメント以外の分野も含めた市場を想定して,新しいサービスを提供することが,メディア・コンテンツ市場の停滞から脱却するための1つの方向であると主張した。

 堀田氏は同様に,“企業の財布”も分析。平均で企業の支出全体の7%を占める広告費だけに注目するのではなく,研究開発や広報・宣伝,顧客サポート分野を含むサービスを提案すべきだとした。

 今後有望と見られる具体的なサービスについて,堀田氏は2つの方向性を提示した。1つは公共スペースに設置するデジタルサイネージ(次世代型情報掲示板)など,リアル世界にデジタルを持ち込むコンセプトのサービス。もう1つは,仮想空間サービス「Second Life」などネット世界でリアルの人が交流する,デジタルとリアルが融合するサービスである。

 「放送で流れる番組をネットに流すなど,既存コンテンツをオンラインにするだけでは収益モデルを構築することはできない。新しい技術を活用し,特定分野にとらわれず新しいコンテンツを開発することが必要だ。マルチプラットフォームでいかに新たなコンテンツを提供できるかに業界の垣根を超えて取り組むことが,収益を伴うデジタル・コンバージェンスビジネスを成立させるためには欠かせない」(堀田氏)。