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まつもとゆきひろ氏
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Ruby会議2008の会場
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fairlyの使用例(開発中のものであり,変更する可能性がある)
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 「Rubyは技術者が集まり,新しい技術が生まれ,世界を変える“梁山泊”になりつつある」---まつもとゆきひろ氏は2008年6月21日,日本Ruby会議の基調講演でこう語った。

必要なのは求心力,重要なのはコミュニティ

 梁山泊,まつもと氏は技術者が集まり,新しい技術が生まれる核になる場所をこう表現する。例えばLisp。1960年代に,ガーベジ・コレクションや,Rails以降話題になったメタプログラミングといった技術を生み出した。

 「UNIXも梁山泊であり,今日のすべてのOSに影響を与えていると言える。Smalltalkも梁山泊。オブジェクト指向やクラスブラウザを生み出した。Javaも梁山泊。仮想マシンやガーベジ・コレクション,例外処理を広めた。コンピュータサイエンスの成果をエンタープライズに取り込んだ」(まつもと氏)。

 逆にCOBOLやFORTRANは広く普及はしたが梁山泊ではなかった,とまつもと氏は言う。仕事の道具だったから,仕事をこなすことが重要であり,新しい技術を生み出すことに主眼が置かれなかった。

 「梁山泊であるために必要なのは,技術力よりも求心力」(まつもと氏)。UNIXが世界最高の技術だったわけではない。1~2人でベル研の片隅で細々と作ったOSであったにもかかわらず,現在はOSのシェアで半分がUNIX系となっている。「コミュニティが重要」(同)。

 Rubyは今,その次の梁山泊になっているように思う,とまつもと氏は言う。Rubyの周りで新しい技術が生まれている,そのひとつがRuby on Railsであり,ポストRailsと呼ばれるMerbやRamazeである。またJRuby,Rubinius,Ruby.NET,IronRuby,MagLevといった様々なRuby実装である。

 Rubyが梁山泊になっているとすれば,その理由はRubyが過去を継承し,感性を重視していることにあると,まつもと氏は考えている。「Ruby梁山泊ができつつある。新しい技術が生まれ,世界が変わる」(まつもと氏)。

Rubyの今後

 Rubyの今後の機能拡張の構想としては,ネームスペースやオープンクラス,関数型プログラミングの強化(遅延評価など),よりよいプロファイラ,イメージベースのIDE(統合開発環境),アクターモデル・プログラミングなどをあげた。そしてスケーラビリティ。まつもと氏は楽天技術研究所とフェローとして共同研究を行っている。そこで開発が進められているのがRubyによる大規模分散処理のためのフレームワークであるROMAとfailyである。

 楽天技術研究所の三條正裕氏がROMAとfairlyの説明を行った。ROMAは分散ハッシュに基づくメモリー・データ・ストレージである。データは冗長化されており,実行中にノードを動的に追加して,サービスを停止することなくスケールすることができる。故障したノードを自動的に切り離すことが可能。

 fairlyは分散プログラミング・フレームワークである。簡単にノードを追加して,スケールすることができるようにすることを目指している。三條氏は使用例として,分散grepの例を示した。楽天で必要とされる分散行列計算など,GoogleのMapReduceにない機能を実現するという。

【訂正】「ROMA」を誤って「ROMOA」もしくは「ROMNA」と記述している部分がありました。お詫びして訂正いたします。[2008/06/23]

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