PR
住友電気工業 情報システム部システム技術グループ長 中村伸裕氏
住友電気工業 情報システム部システム技術グループ長 中村伸裕氏
[画像のクリックで拡大表示]
IHI 情報システム部新事業推進グループ部長 鏑木孝昭氏
IHI 情報システム部新事業推進グループ部長 鏑木孝昭氏
[画像のクリックで拡大表示]
セイノー情報サービス 第二開発部 テクニカルチーム参事 福島克輝 氏
セイノー情報サービス 第二開発部 テクニカルチーム参事 福島克輝 氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「丸投げしないから,最適な技術で効果的に作れる」(住友電気工業 情報システム部システム技術グループ長 中村伸裕氏)---オープンソースビジネス推進協議会(OBCI)は2008年6月25日,情報システム部門の担当者による対談イベントを開催した。

 住友電気工業では数百台のLinuxサーバーを基幹システムで使用しており,仮想マシン・ソフトウエアはXen,Javaアプリケーション・サーバーはTomcat,DBMSはPostgreSQL,開発環境はEclipseと「ほとんどソフトウエアは購入していない」(中村氏)という圧倒的な低コストだ(関連記事)。2008年5月からはオープンソースのオフィス・ソフトOpenOffice.orgの導入も開始した(関連記事)。

 システムは社内で開発したフレームワークで,次々と構築する。「パッケージよりも安く作れる」(中村氏)。あるコンサルタントに計測を依頼したところ,通常の5分の1の工数で開発できていたという。フレームワークは「楽々フレームワーク」として,システム子会社の住友電工情報システムを通じて外販している。

 このように高いコストパフォーマンスで,効果的にシステムを開発,運用できている理由として中村氏は「決して丸投げはしない」ことをあげる。「開発負荷が高い時期は外注を頼むこともあるが,必ずプロジェクト・チームには情報システム部門かシステム子会社の人間がいる」(中村)。

 IHIはオープンソースの顧客管理システムSugarCRMの商用版を,原動機事業部メンテナンス部門で導入した。「必要な機能を適切なコストで満たす製品を選んだ」(IHI 情報システム部新事業推進グループ部長 鏑木孝昭氏)。コストは従来に比べ50%以上削減できたという(関連記事)。

 セイノーグループの情報システムを開発・運用を担当しているセイノー情報サービスは,GPS通信端末を使い車両管理や配送管理を行うシステム「ASPITS」で,Linux,DRBD,PostgreSQL,heartbeatとオープンソース・ソフトウエアだけでクラスタリング構成のデータベース・サーバーを実現した。商用ソフトウエアに比べて大幅に低コストで高い可用性を実現している。

 DRBDはサーバー間でリアルタイムにデータを複製できるソフトウエアだが「日本ではほとんど採用例がなかった」(セイノー情報サービス 福島克輝氏)。同社で検証し,利用可能なことを確認した。「“くせ”をつかんだ」(福島氏)。

 いずれの企業も,先端的な技術やソフトウエアをいち早く採用しシステムを構築することで経営上の効果を実現している。共通しているのは,情報システム部門がベンダーに依存することなく技術を評価・検証し開発できる体制と技術を備えていることだ。新しいソフトウエアは機能の数を数えれば既存のソフトより少ないことが多いが,数が少なくとも自社の必要とする機能が満たされていればよい。また実績も少ないが,自社が利用する負荷や機能の範囲で安定してれば問題ない。それらを確認できる力があれば,低いコストや新しい機能といったメリットを享受できる。

 住友電工の中村氏は「住友電工はメーカー。製造業にとって製造設備は命であり,外部から丸ごと買ってくることはありえない。企業にとって情報システムは製造設備であり丸投げはありえない」と情報システム部が体制と技術を持つことの重要さを指摘した。