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イオンの縣厚伸常務
イオンの縣厚伸常務
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 プライベートブランド(PB)「トップバリュ」の売上高が5年間で2倍の約2000億円に、メーカーとの直接取引の拡大で商品原価を4%削減、バックオフィスのBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)で店舗の後方人員を約70%削減――。イオンの縣厚伸常務は2008年7月2日に開催した「IT Japan 2008」の講演で、1990年代後半から進めてきたITを活用したビジネスプロセス改革の成果について語った。

 イオンのIT改革について「この5年間で店舗のシステムをほぼすべて入れ替えた。バックオフィスを支援する社内のシステムもほとんど変わっている」と縣常務は話す。商品原価の削減を目指した「IT物流プロジェクト」と、バックオフィス改革を目指した「BPR改革」の2本柱で、システムの大規模再構築プロジェクトを進めた。イオン本体でのシステム再構築は完了し、現在はグループ企業に展開中だ。

 イオンは2001年、「2010年に世界に通用する小売業を目指す」とのビジョンを掲げ、大規模なIT改革を開始した。「世界に通用するためには、世界的に展開する小売業のビジネスプロセスを持ち込もうと考えた」と縣常務は当時を振り返る。

 IT物流プロジェクトでは目標に「マーチャンダイジング(MD)改革」を掲げ、PBの拡販や直接取引の推進などを目指した。PBであるトップバリュの拡販を目標に、04年からCPFR(需要予測と在庫補充のための協働作業)を実施。トップバリュ・ブランドの商品を供給しているメーカーを対象に、発注予定数や在庫数、出荷数、週間の出荷需要予測情報などを提供している。その結果「トップバリュの売り上げは約2650億円に達した。これは5年前に比べると2倍以上」(縣常務)という。2010年には売上高7500億円を目指している。

 また、イオンは卸を介さない直接取引を実現するために、自社で在庫管理ができる機能を持った物流倉庫を01年から順次設置。05年までに8カ所の物流倉庫を作った。小売業は通常、卸売業が在庫を調整するため、在庫管理機能を持つ倉庫は珍しい。

 物流倉庫の運営は倉庫ごとに異なるサードパーティに依頼。イオンが開発した物流システムを各倉庫に展開している。倉庫では構内作業を自動化するとともに、サードパーティごとの倉庫運営効率を時間単位で比較してベストプラクティスを展開するなど、作業効率の向上を狙っている。

 一方のBPR改革では、グループ約140社での共同利用を念頭に、会計システムをSAPジャパンのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「R/3」で、給与システムを日本オラクルのERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」で刷新。「業務プロセスを標準化し、事業部ごとに異なっていた作業などのムダを省いた」(縣常務)。

 バックオフィスで発生する帳票類も電子化すると同時に、店舗システムをすべてWeb化。無線LANの環境やハンディターミナルの整備も進めた。加えて「店舗作業を圧迫していた」(縣常務)電話の取り次ぎ業務を、新設した札幌のコールセンターに集約。その結果「店舗で後方業務にかかわった人員を70%削減し、営業などの現場への配置換えができた」(同)という。

 縣常務はIT改革を終えて「お客様や社員の不満や不便を解消するためのビジネスインフラは完成した」と説明する。一方で「お客様の求めるサービスや満足を高めるためのIT戦略は今、スタート地点にたったばかり」と縣常務は強調。その一例として、07年に開始した電子マネーやセルフ・チェック・レジの導入を挙げた。