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 2005年12月にみずほ証券がジェイコム株の誤発注で出した損失を巡って東京証券取引所を訴えた裁判の第10回口頭弁論が2008年7月25日、東京地方裁判所で開かれた。原告のみずほ証券側は、「取消注文の仕様について株式売買システムの要件定義書には『現行と同一』とだけ記載してある。これでは要件はなんら定義されない」と改めて主張する準備書面を地裁に提出した。

 みずほ証券の今回の準備書面は、「誤発注を取り消しできない不具合は要件の誤りでなくバグであり、(開発ベンダーの)富士通に責任がある」という東証の主張に反論したものだ。東証は「要件定義書に業務要件は適切に記述してある。富士通が、記載した業務要件を満たす詳細設計ないしプログラミングをしなかった。いわゆるバグだ」としている。

 このような東証の主張に、みずほ証券は「訴訟のこの段階になって突如として不合理な反論をしてきた」と述べた。「東証が過去に提出した資料によれば、富士通は不具合を修正する際に『仕様変更の提示』を東証に求めている。これは、不具合に関連する仕様が要件定義書に記載されていないことを示している」と続ける。

 これらの双方の主張をふまえ、裁判長は東証に対し、誤発注を取り消しできない不具合が金融庁から業務改善命令を受けることにつながった経緯について説明する文書を、次回口頭弁論の9月5日までに提示するよう求めた。その主張に再反論する書面をみずほ証券が提出してから次々回の口頭弁論を開き、そこで口頭弁論を終わりにする考えを示した。あと2回の口頭弁論を経て、早ければ年内にも判決が出る可能性がでてきた。今後は、過失相殺の割合についてさらに詰めていくとみられる。

 この裁判は、2005年12月にジェイコム株の誤発注により400億円を超える損失を出したみずほ証券が、誤発注を取り消せなかったのは東証のシステムの不具合が原因だとして、東証に約415億円の損害賠償を求めたもの。2006年12月の裁判開始から1年7カ月が経過している。2003年7月に施行された「裁判迅速化法」では「第一審を2年以内のできるだけ短い期間内に終局させること」を目標として掲げている。