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検索連動型広告は広告と呼ぶことは間違い?

 その一方、今回のSESでは、こうした検索に対する評価自体に一石を投じようとする動きもみられた。特に興味深かったのは3日目に行われた公開討論会で、テーマはまさに「なぜ検索ばかりが評価されるのか?」だ。

 例えば、テレビ広告を打てば関連する検索数が増えることは実証されており、検索連動型広告がやっていることは、購入プロセスの最終段階で「注文取り」をしているにすぎず、これを広告と呼ぶこと自体が間違いだ、といった意見まで出された。

 これは極端な見方としても、確かに、景気が減速する中、米国の企業では、効果が測定できない媒体への支出を認めないといった動きがあるのは事実だ。こうした中、オフラインやディスプレー広告に対しても、公正かつ客観的な評価を行う仕組みを工夫すべき時期に来ている、というメッセージがSESから発信されたというのは、注目に値するだろう。

日目に行われた公開討論会「Why Does Search Get the Credit for Everything?」。なぜ、検索ばかりが評価されるのか、その理由と今後の方向性について、企業のマーケッター、代理店、ツールベンダーが意見を交わす
●日目に行われた公開討論会「Why Does Search Get the Credit for Everything?」。なぜ、検索ばかりが評価されるのか、その理由と今後の方向性について、企業のマーケッター、代理店、ツールベンダーが意見を交わす

Googleに対して批判的な議論も

 なお、SESの議長は10年目を迎えた今年から、米国の検索業界の“開祖”ともいわれるダニー・サリバン氏からケビン・ライアン氏に代わり、その重責を担うこととなった。各セッションのテーマを設定し、それにふさわしいパネラーの人選を行い、SESの全体的な方向性を決めていくという重要な役割を担うのがカンファレンスの議長である。

 サンノゼでのSES開催を前に、筆者もライアン氏と意見交換をする機会を持ったが、その際、同氏が強調していたのは「検索エンジンマーケティングに携わる人々の教育や啓蒙(けいもう)に資するカンファレンス」にすることを最大の目的とし、パネラーの人選や、セッションの内容についても徹底的な見直しを行っていく、ということであった。

 実際、今回のSESでは、随所に昨年までとの違いを見て取ることができた。例えば、昨年まではスポンサー企業の担当者が次々に登壇して、営業目的のプレゼンをして終わるセッションも散見されたが、今年は、スポンサー主催のセッションを別途設けることで、通常セッションにおいては、スポンサー色を排除した活発な議論が行われた。

 例えば、Googleは最高位のスポンサーではあるが、SEOスパムについて議論するセッションでは、Googleに対して批判的な議論もオープンに行われていた。一方、そこに聴衆の一人として参加していたGoogleのマット・カッツ氏が、パネラーに対して質問をぶつけるといった場面もあり、そうした議論の応酬の中から、参加者は、Googleが何をスパムと見なそうとしているのか、一方、SEO業者はそれを踏まえて、どうやって掲載順位を上げようとしているのか、といったことをより深く理解することができたはずだ。

3日目のセッション「Black Hat, White Hat: Playing Dirty With SEO」ではGoogleへの批判的な意見に対し、Googleのマット・カッツ氏がパネラーに質問をぶつける場面もあった
●3日目のセッション「Black Hat, White Hat: Playing Dirty With SEO」ではGoogleへの批判的な意見に対し、Googleのマット・カッツ氏がパネラーに質問をぶつける場面もあった

 今秋、SESは2年ぶりに東京に戻ってくる。その詳細はまだ明らかにされていないが、本家のSESと同様に、日本においても参加者との真剣勝負ができる実力と経験を兼ね備えたパネラーを集めることができるか、ライアン氏の手腕に注目したい。