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ディー・エヌ・エー 取締役 川崎修平氏
ディー・エヌ・エー 取締役 川崎修平氏
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 「”こう”使われるだろうな,とイメージしながらアプリケーションを作る。それが思った通りかどうかをフィードバックで確かめながら,顧客の意識とすり合わせていく」---ディー・エヌ・エー(DeNA)取締役の川崎修平氏は9月5日,イベントITpro Challenge!で「モバゲータウンをこうして作った」と題し講演,自身の経験から得られたアプリケーションの開発手法やサービス作りの心がけなどを説明した。

 川崎取締役は「モバゲータウン」をはじめ,携帯オークション・サイトの「モバオク」や「ポケットアフィリエイト」といったディー・エヌ・エーの中枢を成すサービスの開発に携わる。

 川崎氏の少年時代は「ゲームが好きでマイナー志向のオタク。将来の夢はゲームを作るひと」だったという。大学に入り,プログラミングのアルバイトをしながら,オークション比較サイトを自宅にサーバーを置いて公開していたところディー・エヌ・エーからアルバイトに誘われ,その後入社。そして「モバオク」,「ポケットアフィリエイト」,「モバゲータウン」というディー・エヌ・エーのモバイル向けサービスを開発した。モバゲータウンの会員は1000万人を超えている。

 三つのサービスは,基本的に川崎氏が一人で新サービスを開発してきた。川崎氏の開発は,基本的に自宅で行う。設計を考えながら,やる気が出るまで漫画を読む。「やる気が出る漫画は北斗の拳や魁!!男塾。あまりやる気が出ない時はげんしけん。かなりやる気が出ないときは三国志を読む」(川崎氏)。やる気が出たら3日くらいぶっ続けでプログラミングする。その間は食事もせず,午後の紅茶(ミルクティー)だけしかとらないという。

 携帯ユーザーとパソコン・ユーザーのコミュニケーション方法は全然違う,と川崎氏は言う。「パケットは小さく,セッション数は膨大になる。パソコンからのアクセスからは想像できなかった」(同氏)と言う。また,携帯ユーザーは反応が早く「1分以内に報告が来ることもあった」と振り返った。自分の思い描いていたサービスに足らない部分を「フィードバックされた利用者の意見とすり合わせて,サービスの再構築を繰り返すことで,最終的には自分が利用者の視点でサービスを構築できるようになってくる」と話す。

 また一人で開発するスタイルにはメリットもデメリットも存在する。川崎取締役は,メリットを次のように挙げる。まずは,「イメージ通りのものが作れる」(川崎取締役)と話す。一人で開発していたので,設計のイメージができたら力尽きるまで作って調整することができる。「こうしたいと思った瞬間に修正できる」(同氏)。また,大部分の時間を本質的なことに割けるため,システム全体に統一感ができるのも大きな利点だ。一方で,「イマイチかもしれない機能でも自己責任で実装してしまい,イマイチだったらなかったことにもできる」(同氏)と会場を笑わせた。

 もちろん一人で開発することにはデメリットも存在する。まずは,作ったアプリケーションが独りよがりになる危険性だ。解決方法としては,「定期的にほかのメンバーと相談することが大事」と話す。また,現在は人数も増えて一人で開発することは少なくなったが,以前は「2カ月を超えると寂しくなった。失敗したときの精神的ダメージも大きい」と振り返る。運用についても問題が発生した。人に依存しすぎるため,運用者と情報がシェアできていないと,24時間の運営対応が必要になる。「睡眠不足になってしまう」と話す。

 川崎氏は「作る側と任せる側が作家と編集者のような関係が理想」と言う。モバゲータウンを例にとると,ディー・エヌ・エー モバイルビジネス事業部長の畑村匡章氏の「こんなサービスを作りたい」というアイデアを川崎氏が形にした。川崎氏が苦手な苦手なビジネス・チャンスの発見や成長後のトラフィック活用やマネタイズ,カスタマサポートなどは専門家が担当した。それぞれが得意分野で自由に力を発揮したことがモバゲータウンの成功につながっている。

講演資料「モバゲータウンをこうして作った」