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写真1●スイッチ代表取締役でCSS Niteの主宰者,鷹野雅弘氏
写真1●スイッチ代表取締役でCSS Niteの主宰者,鷹野雅弘氏
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写真2●ビジネス・アーキテクツのユーザエクスペリエンスデザイナであり,RIAコンソーシアム運営委員長の三井英樹氏
写真2●ビジネス・アーキテクツのユーザエクスペリエンスデザイナであり,RIAコンソーシアム運営委員長の三井英樹氏
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写真3●ニューロマジックのインタラクティブ・ソリューション・サービス事業部ソフトウェアエンジニアの野村政行氏
写真3●ニューロマジックのインタラクティブ・ソリューション・サービス事業部ソフトウェアエンジニアの野村政行氏
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 2008年9月5日のXDevにおいて,パネルディスカッション「こうすればうまくいく!?デザイナ vs. エンジニア」が催された。デザイン系イベント「CSS Nite」の主宰者である鷹野雅弘(写真1)の司会のもと,ビジネス・アーキテクツのユーザエクスペリエンスデザイナの三井英樹氏(写真2),ニューロマジックのソフトウェアエンジニアの野村政行氏(写真3)が,それぞれの立場から現状についてディスカッションを行った。

 デザイナとエンジニアの共同作業時に発生する問題を「D/E(デザイナ/エンジニア)問題」と称して始まった議論では三井氏がまず,エンジニアが要件定義をする前にデザイナが外観デザインを作ろうとする「グラフィック至上型」の作業工程には無理があると述べた。対する野村氏は,エンジニアがユーザー・インタフェースの骨格作りを入念に行った結果,デザイナ側からデザインの工夫を施す余地がないとクレームを受けたという経験を語った。

 しかし三井氏は,デザインが先行,あるいは要件定義と並走する進行は,要件の変更に合わせてデザインの変更が発生するため,デザインにかかるコストがかさむ点を指摘。特に居酒屋でビールを注文するかのごとく「とりあえずデザイン2,3本」(三井氏)という発注形式はコスト感覚が欠けているとし,こうしたマネジメント担当者に対しては何らかの対策が不可欠であると述べた。

 野村氏は,外観デザインを見ないとアプリケーションの具体的なイメージがつかめない人もいるとしながらも,説明の際ビジュアルを必要とする作業形態は費用立てが困難という点には同意した。特に,バックエンドのシステム構築がメインの案件でデザイナに仕事を依頼する場合,こうした問題がマネジメントを困難にしていると言う。

 さらに,マネジメントに関して,プログラマとデザイナという職能の違うスタッフを社内に抱える場合,評価軸をどうするのかは今後考えなければならない点ではないかと問題を提起。それを受けて鷹野氏は,デザイナとプログラマ間にあるあつれきは,じつはマネジメントする立場の人間にも問題があって生じるのではないか,として,双方の仕事の内容をマネージャがどう理解するかが「D/E問題」解決のカギではないかと語った。

デザイナは説明責任を果たせ

 エンジニアがデザインについて理解しようとしない点については,野村氏が「デザインはあるレベルまで(その必然性を)理論的に解説できる」として,感覚的にしか理解できないものだと考えるのは間違いだとした。三井氏も,ボタンの大きさや色使いといった外観に対する工夫は,使い勝手の向上という目的を設定した場合,説明して理解してもらうことが可能として同意。デザイナが,「見ればわかる」(三井氏)と言って成果物に対する説明を放棄するのは良くないと語った。デザインについて説明する方法として鷹野氏は,常に複数のビジュアルデザインをクライアントに提供し,具体的に比較してもらうことで,提案の妥当性を理解してもらうよう努めていると自身の経験を語った。

 鷹野氏は,デザイナはエンジニアリングに関する知識を,エンジニアはデザインに関する知識を互いに持ち合わせないと仕事がうまくいかないと指摘。これを受けて三井氏は,エンジニアが画面デザインまで行ったThe Broadmoorのホテル予約コンテンツを紹介し,技術に対する理解があってこそできるデザインもあると補足した。

 さらに,昼夜を問わず働かざるを得ない制作現場の仕事環境にも問題がある点に触れた。コストの問題を体力勝負で乗り越えねばならない現状はデザインとエンジニア両方が抱える問題。野村氏は「デザイナもエンジニアも制作という同じ立場で苦労している。しかし疲れると人は敵を探したくなるもの。エンジニアの場合,デザイナを相手にかみついてしまう」と,作業環境の悪化がコラボレーションの妨げになっている現実に触れた。

 最後に鷹野氏は,会場に向かって「デザイナは技術のことを学ぶ姿勢がある。エンジニアにもぜひデザインを学んでほしい」と呼びかけた。加えて三井氏は,デザインはアプリケーションの画面作り以外にも効能を発揮するものだとして,「デザイナに,画面遷移図やユースケースといったドキュメントを見やすくきれいに作ってもらうことから始めてみてはどうか。作業の精度が上がるうえに,経営者層に対する説得材料としても広く使える」と,デザインを特別視せず,積極的に業務に取り入れ,活用することを提案してまとめとした。