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 イー・モバイルは2008年9月10日,HSDPA(high speed downlink packet access)を利用したデータ通信サービスのMVNO(仮想移動体通信事業者)向け料金を公表した。MVNOがイー・モバイルの無線設備を借りてデータ通信サービスを提供する際に同社に支払う料金のこと。いわば“仕入れ値”である。

 今回公表したのは,イー・モバイルとMVNOのネットワークをレイヤー3(IP)で接続した場合の月額料金(以下,いずれも税別)。接続料(ネットワーク接続機能)は10Mビット/秒ごとに月額700万円。加えて,接続装置の利用料(ネットワーク接続装置機能)が1ポート当たり月額40万円と契約管理費(MVNO契約者回線維持機能)が1契約者回線当たり月額1100円かかる。別途,回線の開通手続きにかかる手数料(MVNO契約者回線開通手数料)が1回線の開通ごとに2700円かかる。

 このほか,公表した資料には接続個所や接続インタフェース,ルーティング方式,ユーザーの認証方法,IPアドレスの割り当て方法,最低利用期間,ユーザー管理やサポートの分担,契約手順などについて詳細にまとめてある。

接続料は安いが,契約管理費が高い

 総務省はMVNOの新規参入を促進するため,2008年5月にNTTドコモ,KDDI,ソフトバンクモバイル,ウィルコム,イー・モバイル,UQコミュニケーションズの6社に対し,MVNO向けの卸標準プランや提供条件を公表することを要請していた(関連記事)。卸標準プランや提供条件が明らかになれば,MVNOは新規参入に当たって事業計画を立てやすくなるからだ。

 今回,イー・モバイルが6社の中で初めて,総務省の要請を受けた形で卸標準プランを公表した。もっとも,ウィルコムとNTTドコモは総務省の要請以前から接続料金などを詰めている。ウィルコムは2001年8月から「無線IP接続サービス卸契約約款」にMVNO向けの料金プラン(レイヤー2接続)を公表し,NTTドコモは日本通信との相互接続に基づいて2008年8月にレイヤー3接続の接続料を接続約款に記載している(関連記事)。KDDI,ソフトバンクは現在検討中で,UQコミュニケーションズは今秋に公表する予定である。

 なお,ウィルコムの無線IP接続サービスの接続料は9Mビット/秒で月額2900万円,NTTドコモのレイヤー3接続の接続料は10Mビット/秒で月額1500万円となっている。接続料だけで比較するとイー・モバイルの月額700万円は安いように見えるが,一概に判断できない。

 NTTドコモのレイヤー3接続はイー・モバイルに比べて接続料が高いものの,接続装置の利用料(FOMA直収パケット接続装置機能,1ポート当たり月額2万8383円)と,契約管理費(MVNO回線管理機能,1回線当たり月額110円)が安い。イー・モバイルは契約管理費が高いため,契約数が増えて例えば1万契約といった規模になると月額料金の合計はNTTドコモの方が安くなる。もっとも,10Mビット/秒の回線に大量のユーザーを収容すると1ユーザー当たりの平均スループットは下がる。MVNOがどのようなサービスを計画しているかによって判断は変わってくる。

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