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 米Microsoftは,提携しているハードウエア・メーカーおよび携帯電話キャリアに対し,スマートフォン向けプラットフォームの次期メジャー・アップデート版「Windows Mobile 7」のリリース延期を通知した。延期決定という事実から,社内でアップデート版に搭載する機能の合意がとれておらず,もめていることが分かる。より新しいモジュラー化されたプラットフォームをベースに最初から開発し直すべきと考える陣営や,現在あるものを市場の要求に合わせて行けばよいという意見のグループがいる。

 社内の力関係はさておき,現在のスマートフォンを取り巻く環境は,次世代プラットフォームのリリースを遅らせるのにとても不適切な時期である。この状況こそ,米Palmを苦境に立たせているのだ。カナダのResearch in Motion(RIM)が「Blackberry」で企業顧客を奪い,米Appleが斬新な「iPhone」で消費者スマートフォン市場を切り開き,米Googleが第一弾「Android」携帯電話機(関連記事:Android搭載の商用端末,米国で10月に発売開始)で同市場に参入する今,Microsoftは突如として危うい立場に追いやられた。現行のWindows Mobileは全体的に質実剛健で使いやすいものの,技術マニアからは古くさく面白味に欠けるとけなされている。

 Windows Mobile 7のリリースは表向き2009年上半期から同年下半期に延期されただけだが,Microsoftのハードウエア・パートナと携帯電話キャリアが必ず製品化にかかわるので,端末登場はそこからさらに6~12カ月先となる。同社はWindows Mobile 7の暫定リリースを計画していない。その代わりに,パソコン向けWebブラウザ「Internet Explorer(IE)6」のレンダリング・エンジンを採用した,Windows Mobile向けWebブラウザ「IE Mobile」の新版を提供する予定だ(関連記事:Microsoft,モバイルOSの最新版「Windows Mobile 6.1」と新「IE Mobile」を発表)。Windows Mobile端末にIE Mobileの新版が搭載されれば,iPhoneのWebブラウザ「Safari」に対抗可能なレベルになる。

 表に出て来ない話は,もっとセンセーショナルだ。複数の情報筋によると,具体的な人物は特定できていないが,Microsoftでかなり上の立場にいる技術者たちは,Windows Mobileの既存コードを捨て去ってもっと洗練された別のものに乗り換えるよう以前から主張しているらしい。同社Windows担当チーフのSteven Sinofsky氏を含む上級幹部たちは,この提案を却下したそうだ。

 Microsoftの内輪もめとは関係なく,2009年終わりの端末メーカー向けWindows Mobile 7出荷と,2010年上半期の端末発売は,次期OS「Windows 7」(開発コード名)と同時期リリースという計画通りの進ちょく状況なのかもしれない。そう考えれば,確かにいろいろな辻褄が合う。