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写真1●アクセンチュアの沼畑幸二テクノロジー・コンサルティング統括エグゼクティブ・パートナー
写真1●アクセンチュアの沼畑幸二テクノロジー・コンサルティング統括エグゼクティブ・パートナー
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 「ホワイトカラーの人々は,1週間のうち26%の時間を,情報を探すためだけに費やしている」---。10月15日,東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2008 Autumn」で,アクセンチュアの沼畑幸二テクノロジー・コンサルティング統括エグゼクティブ・パートナーはこう指摘した(写真1)。しかも,探した情報のうち50%は使い物にならないという。「なぜあなたの仕事は効率が悪いのか」と題する講演での一幕だ。

 沼畑エグゼクティブ・パートナーは,「これまで企業はデータ・ウエアハウスやグループウエア,共有ファイルサーバーといった情報活用基盤の整備に投資してきた。しかし,それが今では“ITカオス”の状態となり,ホワイトカラーの生産性を下げている」と指摘する。というのも,便利な道具がそろいすぎて,従業員はどこに何を入れるべきか混乱している状態だからだという。その結果,「結局は個人のパソコンに必要な情報を入れておく形に落ち着いてしまい,いつまで経っても,情報を探すのに時間がかかっている」と沼畑エグゼクティブ・パートナーは分析する。

 生産性を低下させる要因はほかにもある。ワークスタイルの変化にITが対応できていないのだ。現在,グローバル企業では3分の2の従業員が日本以外の地域で働いているという。2007年まで49カ国に拠点を持つアクセンチュアでは,社員が海外出張に費やす総距離は年間で23億キロメートルにのぼっていた。しかも海外出張のうち,50%は社内の用件だった。沼畑エグゼクティブ・パートナーは「意志決定をするのに,海外出張をしていては,3日間を費やすことになる。効率が悪くなるだけでなく,余分なコストまで発生してしまっていた」と振り返る。

 個別の業務単位で開発してきた情報システムも生産性を下げる。今では,多くの人が複数の業務を掛けもちしながら,仕事を進めている。にもかかわらず,業務ごとに別個のシステムにアクセスする必要があり,「無駄を生んでいる」(沼畑エグゼクティブ・パートナー)。加えて,ネットワーク接続を前提としたシステムでは,出張や移動中などでは利用できず,結果的に個人の生産性を下げているという。

解決のキーワードはWeb2.0とSOA

 アクセンチュアがまず注目したのが,自社の若手社員と経営層との働き方の違いだ。特に,「SNSやブログ,WikiといったWeb2.0のツールを使いこなして,コラボレーションを促進していくスピード感は,40代の我々と全く違っていた」(沼畑エグゼクティブ・パートナー)という。

 そこで,アクセンチュアは2007年ころから積極的に社内でWeb2.0を活用し始めた。手始めに,「GrapeVine」というアイデア共有ツールをWikiベースで開発した。社員が投げかけたテーマに対するアイデアを自由に投稿できるツールだ。投稿されたアイデアは社員同士で評価をする。最終的には,ソリューションにまとめていく。採用されるアイデアを投稿したかどうかは年間評価に反映する。「評価制度と結びつけたことで,必要な情報が自然と集まる仕組みができた」と沼畑エグゼクティブ・パートナーは評する。

 ワークスタイルの変化については,携帯電話やスマートフォンといったモバイル環境やユニファイド・コミュニケーションの活用を促す。「まだ数字では統計が出ていないが,社内の用件で出張することが劇的に減ったと実感している」(沼畑エグゼクティブ・パートナー)。

 モバイル環境を前提にした場合,情報システムの在り方も変わる。沼畑エグゼクティブ・パートナーは,「どのような環境が必要かは職種や立場によって異なる。モバイル環境を促進するには,ユーザー個人の業務プロセスを中心に情報システムを開発する必要がある」と指摘。その際,SOA(サービス指向アーキテクチャ)の考え方を取り入れることが有効になるという。「ユーザー企業のIT部門やITベンダーといったIT提供側の理屈ではなく,エンドユーザーを中心にITの活用を考えることがこれからの企業の活力となるだろう」と講演を締めくくった。