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 「米国ではゲーム制作会社のような想定外のユーザーからも,コンテナ型データセンターの引き合いが来ている」。2008年10月15日に開幕したITpro EXPO 2008 Autumnの展示会で日本ヒューレット・パッカードは,同社が6月に公表したコンテナ型データセンターの概要を展示した。

 HPのコンテナ型データセンター「HP Performance Optimized Datacenter(POD)」は,貨物輸送用のコンテナに,19インチの標準ラックを22本搭載し,同社の小型PCサーバー(厚さ2Uのスペースに4台を格納できるサーバー・ユニット)を最大3520台装備できるという。既に米国では出荷を始めており,将来は日本でも販売する考えだ。コンテナ型データセンターという新ジャンルの製品を日本向けに紹介するために,コンテナの写真を交えて,ITpro EXPOの「データセンター・ショーケース」でパネル展示を行ったものだ(写真)。

 特徴は,1台のコンテナに3520台ものサーバーを収納できる集約度の高さだけではない。日本HPでは,(1)受注から6週間でデータセンターを出荷できること,(2)PUE(Power Usage Effectiveness)が1.2~1.25と電力効率が良いこと---を特徴として挙げている。

 コンテナ型データセンターは,貨物用のコンテナに工場でサーバー機を搭載し,データセンターとして完成した状態で,ユーザー企業に届ける。このためユーザー企業は,コンテナ型データセンターを運び込むだけで,数千台のサーバー機を用意できる。コンテナを据え置く場所だけ準備すれば,データセンターを運用できるのだ。日本HPの正田三四郎氏(ISSビジネス本部ビジネスデベロップメント部長)は「米国では,あるゲーム制作会社が3次元CG制作用にコンテナ型データセンターの採用を検討している。このケースでも,会社の敷地にコンテナを運び込むだけで大量のサーバーを用意できる点が評価されている」と説明する。

 もう一点の特徴である電力効率の高さは,サーバーの冷却に水冷方式を採用することで実現している。電力効率性の指標であるPUEは,データセンター全体の消費電力をサーバー機などのIT機器の消費電力で割った値。データセンターに供給される電力が全てサーバー機などのIT機器で消費されている場合に「1」となる。国内の一般的なデータセンターのPUEは2.3~2.5程度で,データセンターが消費する電力の半分以上が,IT機器以外のエアコンや照明機器などが消費している。

 これに対してHP PODのPUEは,1.2~1.25と非常に小さい。これは,HP PODが冷却機構に電気式のエアコンではなく,水冷方式を採用しているため。HP PODは,外部から導入した冷水を流すパイプと,冷水の冷気をコンテナ内に循環させるファンを,天井部分に搭載している。サーバーの廃熱を全て冷水で冷やしているのだ。暖まった水は,コンテナ外部のラジエータを介して外気によって冷やす。冷媒やヒートポンプを使う「エアコン」は一切使わない。

 コンテナ型データセンターは,米Microsoftや米Yahoo!,米Googleなどが採用を始めたことから,注目が高まっている。「コンテナ型データセンターを日本で運用する場合,現状では法規制などの様々なハードルが存在する。これらの規制をクリアすれば,日本でも採用が始まるだろう」(日本HPの正田氏)と見ている。