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写真1●熱弁するITproの高橋秀和記者
写真1●熱弁するITproの高橋秀和記者
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写真2●Amazon EBSのベンチマーク結果。実ハードディスク並みの結果が出ている
写真2●Amazon EBSのベンチマーク結果。実ハードディスク並みの結果が出ている
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 「今のAmazon EC2は、1998年のLinuxと同じ。米Oracleのような大企業のサポートも始まっており、数年内にはあらゆる企業にとって一般的なプラットフォームになる」--。ITpro EXPO 2008 Autumnで2008年10月17日、ITproの新サービス「ITproレコメンド」をAmazon EC2上で構築したITpro高橋秀和記者(写真1)が、自身の体験を基にEC2の現状を解説した。

 ITproは2008年10月に、プリファードインフラストラクチャーが販売する関連記事推薦エンジン「Hotate」を使って、各記事ページの下部にその記事に関連する他の記事タイトルを掲載する機能「ITproレコメンド」を実装した。その際にHotateを実行するサーバーとして、米Amazon.comの子会社である米Amazon Web Servicesが提供するインフラストラクチャ・サービス「Amazon EC2」を採用した。

 Amazon EC2は、ネットワーク経由で仮想マシンを利用可能にするサービスだ。第三者がAmazonのデータセンターで、好きなOS(LinuxまたはOpenSolarisのほか、2008年内にWindows Server 2008も対応予定)や任意のプログラムが実行できる。

 ITproが新サービスを実装する際に、サーバー・ハードウエアを新規に調達するのではなくAmazon EC2を採用した理由について高橋記者は、「ITproとして、クラウド・コンピューティングの代表的なサービスであるAmazon EC2をテストしたかった。また、記事推薦機能の追加を決定したのは7月24日なのに、ITpro EXPOの始まる10月15日までに機能を実装する必要があり、短期間でインフラを用意する必要があった」と説明している。

Amazon EC2を使うなら「Amazon S3」の併用を

 ITproレコメンドは現在、ITpro EXPOの特設サイトで順調に稼働している。高橋記者は、自身が運用した経験を基に、Amazon EC2でサービスを運用する上での注意点をいくつか指摘した。一つは、Amazon EC2では、仮想マシンのインスタンスの状態が保存されないということ。Amazon EC2は、オープンソースの仮想化ソフト「Xen」の仮想マシンが利用できる。この仮想マシンを終了処理すると、仮想マシンの内蔵ハードディスクに書き込まれたデータは、すべて消えてしまう。

 「仮想マシン・インスタンスのデータは、Amazonのストレージ・サービス『Amazon S3』にバックアップできる。つまり、Amazon EC2を使う場合は、Amazon S3も使う必要があると言うことだ」と高橋記者は解説する。

 また、Amazon EC2の仮想マシンに内蔵されたハードディスクに関しては,「オマケみたいなもの。実運用にはお勧めできない」と語る。データが消えてしまうのも理由の1つだが、それ以外にも「仮想マシンの内蔵ハードディスクは、パフォーマンスが出ない。われわれのテストでも、ディスク・ベンチマーク『dbench』の結果が、クライアント数が増えるにつれて乱高下した。サイジングが非常に難しい」という。

外付けストレージ「Amazon EBS」を使うのがお勧め

 高橋記者は、Amazon EC2でサービスを運用するのであれば、Amazon EC2の仮想マシンに外付けするストレージ・サービスである「Amazon EBS」を使用するのが現実的だと指摘する。Amazon EBSに書き込まれたデータは、仮想マシンを終了しても消えない。またパフォーマンスも、実マシンのハードディスク並みに優れているからだ(写真2)。

 Amazon EC2のネットワーク機能についても言及。仮想マシンにはギガビット・イーサネット・インタフェースが搭載されており、Amazon EC2内の仮想マシン間でデータを転送する場合、実際のギガビット・イーサネット相当の速度が出ていると語る。ただし、Amazon EC2のデータセンターは北米で運用されているため「日本と米国とのスループットを計測すると、3Mビット/秒であり、巨大なファイルの転送を前提としたアプリケーションの運用には不向き」と指摘する。

 高橋記者はAmazon EC2に触れた感想として、「現在のAmazon EC2は、1998年のLinuxと状況が同じ」と語る。1998年と言えば、米IBMや米Oracleが、企業ユーザー向けにLinuxを正式にサポートし始めた時期だ。それと同じように2008年、Oracleや米Sun Microsystems、米Microsoftなどが、Amazon EC2の正式サポートを開始している。「1998年から10年経った現在、Linuxは企業システムに完全に浸透している。Amazon EC2も間もなく、企業システムに受け入れられるようになるだろう。ただし現在のところ、Amazon EC2以外のサービスが存在しないのが難点。Amazon EC2と似たサービスが複数存在する『マルチ・クラウド』の時代になれば、誰にとっても安心して使える基盤になる」とまとめた。