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写真1●東映アニメーションの吉谷敏情報システム部長
写真1●東映アニメーションの吉谷敏情報システム部長
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写真2●現場の最前線で使えるよう工夫した財務データの表示画面
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 2008年10月17日,ITpro EXPO 2008 AutumnのCFO(最高財務責任者)ステージに登壇した東映アニメーションの吉谷敏情報システム部長は,「データが語るアニメ・ビジネスの本質」と題し,ERPが蓄積する膨大な財務データを収益管理にどう生かすかという同社の取り組みについて,発表した(写真1)。

 同社がSAPジャパンのR/3を稼働させたのは2006年1月のこと。その翌年,経理部長を兼務することになった吉谷部長は,R/3の膨大な財務データから目当ての情報を探し出す,という難題にぶつかったという。

 実は,アニメーション(映像制作)事業単体で収益を上げることは難しい。「1本放映するごとに,500万円の赤字が発生するとも言われている」(吉谷部長)。キャラクター商品,映画,DVDやセルビデオ化といった周辺ビジネスを国内外に展開することで収益を上げている。R/3導入に期待したのは,周辺ビジネスも含めたトータルな収益管理が可能になることだった。

 「経営や現場の最前線で使える形にしたい」。そう考え,吉谷部長は早速,BIシステムの構築に着手した。「もっとも悩んだのは,膨大なデータをどういう切り口で見せたら誰でも使えるかだった」(同)という。だが,答えは身近な所にあった。

 それは,同社が業績会議用資料として毎月管理職に配布していた帳票のイメージである(写真2)。部門別の営業収益と予算をまとめたものだ。情報システム部門が開発したのは,この表を出発点に,どこまでもドリルダウンできる仕組みである。「最終的には会計伝票や検収票,メモなどまでたどっていける」(吉谷部長)という徹底ぶりだ。

 各部門には小型のスキャナを配り,伝票やメモをPDF化して登録できるようにした。現場が嫌がる作業だが,ドリルダウンできる業績会議用資料を提供し始めると,登録作業も急速に定着したという。「データの整合性はERPが保障してくれている。ようやくERPのメリットを生かせる体制になった」と吉谷部長は語る。

 この仕組みができたことで,いつ,どの周辺ビジネスを展開すべきか,いつ撤退すべきかを客観的に判断できる材料が簡単に手に入るようになった。また,「例えば,女の子用のアニメーションでは,どのタイミングでどのアイテムを投入すれば収益が見込めるか,といった経験則もある程度分かるようになった」(吉谷部長)という。