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写真●調査会社米Gartnerで調査担当副社長を務めるMark Margevicius氏
写真●調査会社米Gartnerで調査担当副社長を務めるMark Margevicius氏
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 「今や米Microsoftがコミュニケーション市場でリーダー,ビジョナリーの立場にある。企業はネットワークの世界で起こりつつある変革を認識してビジネスに生かすべきだ」---。

 調査会社の米Gartnerで調査担当副社長を務めるMark Margevicius氏(写真)は2008年10月28日,「Gartner Symposium/ITxpo 2008」で講演し,コミュニケーション市場における地殻変動を企業の利益につなげるための処方箋を提示した。

 Margevicius氏が,ネットワークとコミュニケーション基盤に関して留意すべきポイントとして強調したのは大きく三つ。(1)通信インフラ構築の重要性,(2)エンドユーザーの視点を取り入れたICTへの投資,(3)ソフトウエア重視の体制,である。

 (1)の「通信インフラの重要性」については,Nicholas Carr氏による論文「IT Doesn't Matter」にひっかけ,「Infrastructure Matters(インフラは重要だ)」(Margevicius氏)と断言。ITの心臓部はインフラ,つまりネットワークであり,同分野に「新しいテクノロジを投入しなければ,いずれは公共インフラのように老朽化する」(同氏)と指摘した。

 インフラ整備は,サービスを利用するユーザー企業にとっても同じく重要であり,「単一の通信事業者に対して“規模のディスカウント”を要求するだけでは柔軟性を失う。複数のサービスを組み合わせて個別にコスト削減を図っているユーザー企業や,複数のネットワーク・サービスをうまく組み合わせて,理にかなうインフラを提案できるサービス・プロバイダがいることを知っておくべき」(Margevicius氏)とした。

 (2)の「エンドユーザーの視点」は,Gartnerがここ数年提唱し続けている,消費者向け技術が企業向け技術を先導するという概念「コンシューマライゼーション(Consumerization)」に関するものだ。Margevicius氏は,ユーザー主導で導入が始まっているSkypeやiPhoneを例に挙げ,「ユーザーを取り込めない企業は市場の競争についていけない。決定の4分の1に,エンドユーザーの意志決定を取り込むべき」と提言した。

企業ネットの担当部門は5職種に細分化

 (3)の「ソフトウエア重視の体制」は,“ソフトウエア中心のアプローチ”によって,アプリケーション連携や人間同士のコミュニケーション・ネットワークを実現する考え方や組織を意味する。「サプライチェーンの成否はコミュニケーションで決まる。企業はソフトウエアによって初めて収益を得られ,顧客に付加価値を提供できる」(Margevicius氏)。

 ソフトウエアを十分に生かすには「ネットワーク担当部門に新たな役割分担が必要」(Margevicius氏)だという。これまで音声ならPBX技術者,データならスイッチ,ルーティング,認証のスペシャリスト,という具合に単純だった役割分担は,2013年までに5職種に細分化するとMargevicius氏は見る。

 細分化したネットワーク担当組織とは「顧客管理の責任者,最適化を図るCoE(Center of Excellence)の担当者,ユニファイド・コミュニケーションなどアプリケーション・ネットワークの専門家,それらを支える論理ネットワークおよびコアネットワークの専門家」に分かれるとMargevicius氏は分析する。音声とデータで組織を分けることが30年以上にわたって続いてきた常識だけに,「変革は厳しいが,取り込んでいかなくてはならない」と釘を刺した。