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 文部科学省が進めているソフトウエア関連の研究開発プロジェクト「StagEプロジェクト」は2008年10月29日、ソフト開発状況を“見える化”するための「ソフトウェアタグ」規格の正式版をVer1.0として公表した。同年7月にドラフト版を公開しており、寄せられた意見を反映させて正式版とした。

 StagEプロジェクト(正式名は「次世代IT基盤構築のための研究開発 ソフトウェア構築状況の可視化技術の普及」)は、要件定義、開発、実装(プログラミング)、テストなど一連のソフトウエア開発工程の状況を発注者が把握できるようにするのが狙い。各工程の状況に関するデータを仮想的なタグである「ソフトウェアタグ」に収容しておく。この情報を見れば、発注者はソフト開発の状況を確認できる。

 今回公表したソフトウェアタグ規格Ver1.0では、タグに収容するデータ項目としてプロジェクト情報12項目、進捗情報29項目の計41項目を規定している。

 プロジェクト情報は、プロジェクト名、顧客情報、システム規模、開発手法といったプロジェクトやシステムに関する基本的なデータ。進捗情報は、要件定義(ユーザーヒアリングの件数や項目、規模など)、設計(規模、変更量など)、プログラミング(規模、変更量など)、品質(レビュー状況、欠陥件数、欠陥対応件数など)、工数(作業工数など)といった開発プロセスの履歴や進捗に関するデータである。

 ソフトウェアタグ規格の策定を主導する大阪大学大学院情報科学研究所の井上克郎教授は「どの項目を選ぶかは発注者とベンダーの間で合意をとるのが前提。必ずこれらのデータを入れろと強制するわけではない」と説明する。

 同日にStagEプロジェクト主催で開催した「平成20年度 第1回エンピリカルソフトウェア工学研究会」では、「ソフト開発だけでなく、保守段階での利用は想定していないのか」「ベンダーは工数を顧客に出したがらないのでは」といった質問が出た。井上教授は前者の質問に対しては「保守工程でも利用できる。この段階で必要な項目は今後の規格で考えていきたい」、後者に対しては「発注者とベンダーとの合意に基づいて項目を決めるので、ベンダーが出したくなければ出さなくてよい。発注価格の適正性や作業品質の評価に使えるとみて、規格の項目として工数も加えた」と答えた。

 StagEプロジェクトは2007年8月に開始し、2012年3月に終了する予定。奈良先端科学技術大学院大学と大阪大学を中心に、宇宙航空研究開発機構、SRA先端技術研究所、NEC、NTTデータ、シャープ、情報処理推進機構、デンソー、東京証券取引所、東芝、日立製作所、富士通研究所といった企業・団体が参加している。StagEプロジェクトの代表を務める、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科の松本健一教授は「設計書やソースコードなど、タグに収容したデータの証拠となる情報を収集し役立てる方向性も検討していく」とする。