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図1●無線LANメッシュ・ネットワークのイメージ
図1●無線LANメッシュ・ネットワークのイメージ
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写真1●高速プラグ(QHS Plug)の開発用リファレンス・デザイン・キットに含まれるハードウエア。ちなみに,この高速プラグは電源コンセントに直接差し込んでの利用を想定しているという。
写真1●高速プラグ(QHS Plug)の開発用リファレンス・デザイン・キットに含まれるハードウエア。ちなみに,この高速プラグは電源コンセントに直接差し込んでの利用を想定しているという。
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図2●QHSシリーズのラインアップ
図2●QHSシリーズのラインアップ
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 米クアンテナ・コミュニケーションズは2008年11月20日,IEEE802.11nに対応したチップセット「Quantenna High Speed(QHS)」シリーズ3製品を発表した。同社のベルーズ・レズバーニ会長兼CEOは「QHSシリーズでは世界で初めて4×4 MIMO(multiple input multiple output)に対応した。4×4 MIMOでは従来の2×2 MIMOや3×3 MIMOなどに比べて,データ転送速度や通信範囲が格段に向上する。ただし,かなり複雑な演算処理が必要となる。他社が追随しようとしても時間がかかるだろう」と語る。

 MIMO以外の特徴としては,「送信ビーム・フォーミングや,コンカレント・デュアルバンド,アダプティブ・ベクトル・メッシュ・ルーティングに対応している点が挙げられる」(レズバーニCEO)。

 送信ビーム・フォーミングは受信デバイスの位置を特定し,信号をそちらに集中させることで電波を効率よく送る技術。コンカレント・デュアルバンドは5GHz帯と2.4GHz帯の2種類の帯域を同時に処理する技術を指す。アダプティブ・ベクトル・メッシュ・ルーティングは,同チップを組み込んだデバイス間で,自律的に無線LANのメッシュ・ネットワークを構成するための技術だ(図1)。

 レズバーニCEOによれば,現在の無線LANには,各国の建築事情によってさまざまな課題があるという。例えば日本では“壁の薄いケースが多く,干渉が起こりやすい”,米国では“各部屋が広いケースが多く,無線LANの電波が届かないデッド・スポットができやすい”といった具合だ。しかし,QHSシリーズでは先述の技術を組み合わせることで,これらの課題を解決できるという。

高速プラグで無線LANメッシュを実現

 同社は今後,QHSシリーズを組み込んだ「高速プラグ(QHS Plug)」(開発用リファレンス・デザイン・キットに含まれるハードウエア,写真1)と呼ばれる小型の無線LAN中継ノードを複数組み合わせ,屋内に無線LANメッシュ・ネットワークを構築するソリューションを提供する予定だ。高速プラグは,メッシュ・ネットワークに参加しているデバイスに最適なチャネル,アンテナを動的に割り当てる。「あるリンクが切れた場合には,別のリンクに接続を切り替えるといった処理を自律的に実行することも可能」(レズバーニCEO)。その結果,無線LANの干渉を避けつつ,通信範囲の拡大とデータ転送の高速化が可能になるという。デッド・スペースに対しては,「高速プラグの設置ポイントを増やすことでメッシュ・ネットワークを拡張すれば容易に対処できる」(レズバーニCEO)。

 QHSシリーズのラインアップは図2の通り。「QHS600」は5GHz帯を利用し,データ転送速度が最大400Mビット/秒,シングルの4×4 MIMOまたはデュアルの2×2 MIMOに対応。「QHS450」は2.4GHz帯を利用し,データ転送速度が最大200Mビット/秒,シングルの4×4 MIMOもしくはデュアルの2×2 MIMOに対応。「QHS1000」は上記二つのチップセットをICC(Inter-chip communication)接続したデュアルバンド仕様の製品で,データ転送速度が最大600Mビット/秒,デュアルの4×4 MIMOもしくはクワッドの2×2 MIMOに対応する。

 QHSシリーズのターゲットとしては家庭向け/企業向けのネットワーク機器やパソコンのほか,デジタル・テレビやゲーム機などコンシューマ・エレクトロニクス機器も視野に入れている。国内ではアルティマと提携してQHSシリーズを販売する方針。また,バッファローと提携してQHSシリーズを搭載した製品の検証を進めているという。2009年の5月から7月ごろにはQHSシリーズ搭載の製品が登場する見通しだ。