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図1 e-VLBIの仕組み
図1 e-VLBIの仕組み
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図2 今回参加する電波望遠鏡のマップ(JIVEのPaul Boven氏によるもの)
図2 今回参加する電波望遠鏡のマップ(JIVEのPaul Boven氏によるもの)
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 2009年1月15~16日にかけて,世界中の電波望遠鏡をインターネットでつないで構成した巨大な仮想電波望遠鏡による史上最大規模の天文観測が実施される。これは国連が2009年を「世界天文年」と定めたことを記念したもの。今回の天文観測イベントは,情報通信研究機構(NICT)をはじめ,欧州VLBI連合研究機構(JIVE:Joint Institute for VLBI in Europe),オーストラリア連邦科学産業研究機構(ATNF:Australia Telescope National Facility),中国科学院などが協力して行う。

 電波望遠鏡をインターネットでつないで仮想電波望遠鏡を構成する技術は「e-VLBI」(e-very long baseline interferometry)と呼ばれる。複数の電波望遠鏡で観測したデータを磁気テープに記録し,一カ所に集めて「相関処理」(各データの共通部分を取り出して雑音の影響を除く処理)を施すことで観測精度を上げる「VLBI」(超長基線電波干渉計)という技術は,以前から使われてきた。今回のe-VLBIでは,磁気テープではなくインターネット経由でデータをやり取りすることで,より多くの電波望遠鏡から大量のデータを一カ所に集めやすくする(図1)。

 今回の天体観測イベントには,世界各国にある17基の電波望遠鏡が参加する(図2)。日本からは,NICT鹿島の直径34mのアンテナが参加する。映画「コンタクト」で有名なプエルトリコにある直径305mのアレシボ電波望遠鏡も参加するという。観測対象は,おひつじ座の方向にあるクエーサー(J0204+1514)である。

 一般に,2基の電波望遠鏡を結ぶ線(基線)を増やすほど観測精度は上がる。つまり,多くの電波望遠鏡が参加すれば,それだけ観測精度が向上することになる。例えば,観測対象の天体を画像化したときに,その解像度が上がるという結果になる。今回の観測に参加する17基という数は,e-VLBIとしては最大だという。

 観測データは高速回線を使って,オランダにあるJIVEのデータ処理局に送られる。日本からのデータは,NICTのテストベッド・ネットワーク「JGN2plus」を利用する。電波望遠鏡1基当たりのデータ量は256Mビット/秒になる。観測は24時間継続されるが,5分~10分の観測を断続的に行うため,実質的な観測時間は半分ほどになるという。それでも,データの総量は数十Tバイトに達する。

 なお,今回の天体観測の様子は,1月15日にパリで開催される世界天文年のオープニング・セレモニーで紹介される予定である。

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