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 米Jon Peddie Research(JPR)は2009年1月29日(米国時間)に,「グラフィックス・プロセッサ(GPU)の販売が急激に落ち込んでいる」というデータを発表した。それによると,2008年第4四半期のGPU販売数は約7200万個で,前年同期の1億100万個に比べ落ち込んだという(関連記事:2007年Q4の世界GPU出荷数は前年同期比27%増,ノート・パソコン向けが好調)。GPUの販売数が減少した理由の一部は明らかで,経済状況の悪化である。だが,それ以外にもOSやパソコンのハードにおけるトレンドの変化が考えられる。

 かつて,パソコンにグラフィックス処理専用の拡張カードを追加する必要があったのは,最新の3次元(3D)ゲームをプレイしたりCADなどの特殊な作業を行ったりする場合だけだった。長いあいだの常識だったこの状況は,「Windows Vista」の登場で一変した。発売された時点でVistaのユーザー・インタフェース「Aero」を処理できたのは,最新のビデオ・システムに限られていたのだ。Windows Vistaを快適に使うには,それまでゲーム用とされていたビデオ・カードが欠かせなくなった。

 だが,その後のハードウエアの進歩で,現在はハイエンド機でなくても内蔵ビデオ・カードだけでAeroのシステム要件をクリアできるようになった。消費者は明らかに,パソコンに最初から搭載されているビデオ・システムの処理能力で満足している。さらに,ノート・パソコンの販売がデスクトップ・パソコンを上回った影響もある(Windows IT Proの関連記事)。というのも,ノート・パソコンは通常GPUを1個しか搭載しておらず,これをアップグレードすることは困難(もしくは不可能)だ。つまり,ノート・パソコンが売れれば売れるほど,GPUは売れなくなる。

 今後登場する「Windows 7」では,さらにビデオ・カードをアップグレードしようという気持ちにならないだろう。Windows 7のベータ版は,ローエンド・ハードウエアのネットブックでもスムーズに動く(Windows IT Proの関連記事)。「米Microsoftのマルチメディア用API『DirectX 11』に対応している」という理由でWindows 7を使うゲーム・ユーザーもいるだろうが,DirectX 11に追加される新機能の多くは「DirectX 10」対応ハードウエアでも使える(Microsoftのブログ記事)。それに,Windows 7とDirectX 11を結びつけて考える必要もない。Windows VistaもDirectX 11に対応するのだから。

 GPUメーカーにとって一番の希望がゲームであることは変わらないと思う。ただし,パソコン用ゲーム市場も好調とはいえない(会員数1150万人というオンライン・ゲームのような例外はあるが)。Microsoftはパソコン用ゲームに力を注ぐとしているが,その一方で1月第4週,由緒あるゲーム「Flight Simulator」の担当チームをレイオフした(Windows IT Proの関連記事)。

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