日立製作所グループの顧客対応フィールドサービスに携わる事業会社が2009年2月14日、大規模地震想定の合同訓練を実施した。日立電子サービス(日立電サ)など計6サービス会社と日立製作所本体のリスク管理部門が参加し、日立ビルシステムの施設で行った。
約100人の参加者は復旧作業にあたる「プレイヤ」と、被害などの状況や制約条件、復旧要請など時々刻々と変わる課題を付与する「コントローラ」の二手に分かれた(写真1)。日立としてグループの事業会社が集まっての合同訓練は初。グループ間で情報を共有したり人員リソースを融通したりする連携を試し、課題を洗い出すのを主目的とした。
例えば、日立電サからエレベータなどビル設備管理を担当する日立ビルシステムに火災の情報を伝えたり、日立ビルシステムとモーターなどの産業用部品を扱う日立産機システムのエンジニアが連携し復旧作業に当たるなどした。顧客からの依頼で、連絡のつかない他社への情報伝達を代行した場面もあった(写真2)。
訓練後の反省会では「社会的に重要な複数の顧客から支援要請が入り、優先順位付けが難しかった」「停電している真夜中の支援要請で、移動手段に困った」「災害対策マニュアルを熟読していたが、想定されていないことも多く起こる」といった意見が出た。グループ連携については「危険なエリアや交通インフラの状況を共有できて役に立った」と一定の効果を上げたとみている。
日立製作所の小島俊郎リスク対策部長は「コントローラが出すシナリオについて各社で集まり長期間にわたり策定してきた。その結果、貴重な様々な課題が洗い出され、各社の横のつながりも強まった」と連携の成果を語る(写真3)。この6社で2月14日、訓練の教訓を生かして災害時の相互協力を強化する協定を結んだ。各社が持つ、地図を核とした災害情報の共有システムや災害時の安否確認システムなどの活用も進めていく(写真4)。参加した6社は日立電サ、日立エンジニアリング・アンド・サービス、日立ビルシステム、日立アプライアンス、日立産機システム、日立コンシューマ・マーケティングである。
想定する災害は東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の大地震。2月15日 日曜日の午後6時に発生し、東京23区が震度6強の揺れに襲われるというものだ(写真5)。ここ最近の大地震の発生が休日に多い点も考慮している。事業継続に必要な社員や経営陣が自宅や外出先など社外にいるケースが多く、連絡を取ったり集まって意思疎通を図ったりといった対応が取りにくい。
最終段落で,当初「2月15日 土曜日」としていましたが,正しくは「2月15日 日曜日」です。本文は修正済みです。 [2009/02/16 14:35]