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写真1●MM総研所長,国際大学グローバル・コミュニケーション・センター教授の中島洋氏
写真1●MM総研所長,国際大学グローバル・コミュニケーション・センター教授の中島洋氏
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写真2●芸者東京エンターテインメントの田中泰生代表取締役CEO/ファンタジスタ
写真2●芸者東京エンターテインメントの田中泰生代表取締役CEO/ファンタジスタ
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 独立行政法人の情報通信研究機構は2009年2月20日,情報通信関連ベンチャー企業の支援を目的とした講演会「情報通信ベンチャーフォーラム2009」を開催した。MM総研の中島洋所長(写真1)が基調講演で国内ベンチャー企業の動向と展望を説明したほか,複数のベンチャー起業家が自社の最新サービスを紹介した。

 一時期と比べて,国内外を問わずベンチャーの株式公開の話題が少なくなった。米国発の金融危機が要因と考えがちだが,MM総研の中島所長は「もっと前から,ベンチャーの冷え込みの時期が始まっている」と分析する。その要因としては,2009年3月期の決算から導入される日本版SOX法がある。

 日本版SOX法を見越して,1年半から2年前にかけて,株式公開の監査が厳しくなっているという。ベンチャー企業にとっては,上場のハードルが高くなるが「十分な監査をせずに上場することは周囲に多額の損失を与える。もはやモラルなき拝金トレンドは終わった」と,中島所長は日本版SOX法を評価する。

 ベンチャーには厳しい状況が続くが,新しいビジネスチャンスは数多く出てきているという。例えば,牛肉をはじめ一部食品の生産者や流通経路を確認できるトレーサビリティが開始となっているが,工業製品では導入されていない。中島所長は,メーカー側の社会的責任の範囲が広がり,自らの製品がどこで売られて,どこで使われているかを把握する必要が出てくると予測する。「農業の分野でできたのだから,計画設計ができる製造業,工業社会でできないはずがない」と主張する。

 今後は「情報通信の成長によって,ネットワーク,テレビ,パソコン機能を包み込む製品が登場するなど,既存のものが壊れて,新しいものが出てくる」と展望。社会構造の変化の中で,新しいサービスやビジネスが登場すると語った。

日本人の得意とするアニメやゲーム分野を生かす

 そのほかの講演では,AR(拡張現実)技術を使った電脳フィギュアなど独自性のある製品やコンテンツを制作する芸者東京エンターテインメントの田中泰生代表取締役CEO/ファンタジスタ(写真2)や,個人同士でお金の貸し借りができるソーシャルレンディングサービスを運営するmaneoの妹尾賢俊代表取締役などが講演した。

 田中泰生代表取締役CEO/ファンタジスタは,米グーグルのようなサービスの開発を目指すベンチャー企業が多いが「日本人はアニメやゲームなど得意とするバックグラウンドをフルに使うべき」と主張する。同社の電脳フィギュア「アリス」がYouTubeで外国人から注目を集めている例を挙げ「日本でも売れれば,アジアでも欧州でも売れる。これはソニーとかホンダの事業モデルと同じ」と語り,まずは小さな分野でナンバー1を目指すという方針を示した。ベンチャー企業の姿勢としては,単に技術を大企業に売るのではなく,独自の用途を創出し,独自の製品を作り,販路を切りひらくことが大切と説いた。