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図1●コンテンツIDシステムの仕組み。動画の特徴をコンテンツIDとして保存し,似ている動画を検出する
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図2●ミュージッククリップにその曲の販売サイトのリンクを埋め込んだ例。米国ではすでに運用を開始している
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 グーグルは2009年2月23日,動画配信サービス「YouTube」の権利処理と収益化の今後の取り組みについて説明会を開催した。YouTubeシニアプロダクトマネージャーの徳生裕人氏は,YouTube事業が目指す今後の方向性として「コンテンツの権利者がYouTubeを使ったビジネスをしやすくするためのツールやサービスを提供し,広告掲載を増やすことでYouTubeサービスそのものの収益化を目指す」と説明した。

 YouTubeは現在,動画の配信権利を持つ権利者とパートナー契約を交わし,パートナーの動画視聴で得られる広告収入を両者で分配している。広告掲載で得られる収入の分配比率について具体的なコメントは避けたが,「半分以上はコンテンツ事業者側に渡っている」(徳生シニアプロダクトマネージャー)という。YouTubeは一般利用者からの投稿動画など,権利処理の状況が不明な動画に対しては広告を表示していない。そのため,権利処理が行われているパートナー提供のコンテンツの視聴が増えるほど,広告を掲載したページの露出が増える。グーグルはパートナーがコンテンツを提供しやすい環境を整えることで,広告収入を増やしたい考えだ。

 パートナーがコンテンツ提供しやすい環境作りとして,グーグルは「コンテンツIDシステム」を積極的に活用する。コンテンツIDシステムは,あらかじめパートナーが権利を持つ動画について,動画の特徴を分析したコンテンツIDを登録する。ユーザーが動画をYouTubeに登録すると,同じようにコンテンツIDが作成される。これを全パートナーがあらかじめ登録しておいたIDと比較することで,そのコンテンツがパートナーが権利を持っているものかどうかを検出する。コンテンツIDシステムを使ってパートナーが権利を持つ動画が検出された場合,パートナーはその動画を単に公開停止にするだけでなく,広告を付けて公開を認める代わりに広告収入を得ることもできる。YouTubeとパートナー契約している約300の権利者の中でコンテンツIDシステムを利用している事業者はまだ1割程度に留まっており,より使い勝手の良いツールや仕組みを提供することで,多くのパートナーに利用してもらえるようにする。

 コンテンツIDシステムの使い勝手を向上するために,(1)Web公開は許可しても携帯機器向けには公開しないようにするなど,コンテンツの公開状況をきめ細かくコントロールできるようにする,(2)パートナー側のコンテンツ登録作業などシステムの使い勝手を改善する,(3)配信コンテンツに関連した商品を販売するサービスへのリンクを埋め込めるようにするなど,パートナーがビジネスしやすい環境を整備する,(3)違法コンテンツの検出精度や検出速度を向上する――などの対策を今後実施する。こうした取り組みの結果,「パートナーの9割にコンテンツIDシステムを利用してもらえる状態が理想」(徳生シニアプロダクトマネージャー)という。