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まつもとゆきひろ氏(左)とひがやすを氏(右)
まつもとゆきひろ氏(左)とひがやすを氏(右)
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 ビジネスとコミュニティのギャップを乗り越える一つの方法がRubyアソシエーションとSeasarファウンデーションの設立---オープンソースビジネス推進協議会(OBCI)は2009年3月13日,「2009年度のITトレンド」と題するセミナーを開催,Ruby作者のまつもとゆきひろ氏とSeasar2作者のひがやすを氏が,講演やパネル・ディスカッションを行なった。

 オープンソースビジネス推進協議会は,オープンソース・ソフトウエアのビジネス利用拡大を目的とした団体。オープンソース・ソフトウエアを紹介するイベントの開催や,ホームページでの事例紹介などの活動を行っている。野村総合研究所や電通国際情報サービス,伊藤忠テクノソリューションズ,サン・マイクロシステムズなどが参加しており,PostgreSQLの国際化などを行ったSRA OSS日本支社長 石井達夫氏が理事長を務めている。

RailsとJavaの長所を融合---ひが氏

ひがやすを氏
ひがやすを氏
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 Seasar2はJ2EE(Java2 Enterprise Edition)のフレームワークである。最近では,ある政令指定都市の基幹システムをメインフレームからオープン系にリプレースするプロジェクトや,ある出版社での雑誌に連動するサイトの構築で利用されているという。

 「Javaに,アジャイル開発に優れたRuby on Railsの良さを取り込み,かつJavaが持つ長所を生かすことを狙って開発してきた」とひが氏は言う。Ruby on Railsの良さとは,プログラムを変更した際にアプリケーション・サーバーを再起動することなく反映できるホット・デプロイや,アプリケーションのひな型(Scaffold)を自動生成する機能などだ。Javaが持つ長所とは,変数の型チェック機能やIDE(統合開発環境)によるコード補完が充実していることなどだ。

 その方向を推し進め,最近Seasar2に追加したのが「タイプセーフなデータベース・プログラミング」と呼ぶ機能だ。Javaの型チェック機能が生きる形でデータベース・アクセスを記述する(タイプセーフなデータベースプログラミング - ひがやすを blog)。ひが氏は,これらの機能を活用した「ステップバイステッププログラミング」と呼ぶスタイルを提唱している。1ステップ変更するごとに実行してみて結果を確認することで,ミスを容易に発見できる。

景気後退は優れた技術の普及を促進する---まつもと氏

まつもとゆきひろ氏
まつもとゆきひろ氏
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 RubyはTwitter,YellowPages.com, Nifty, 楽天,クックパッドなどで採用されている。Ruby on Railsはパフォーマンスを心配する声もあるが,Twitterではオバマ大統領が選出された際など,すさまじい数の投稿が行われた。また楽天では,従来PHPで開発されていたサービスをRubyで再構築したが,10分の1の数のマシンで置き換えた。アーキテクチャの設計方法が進歩しているなど,単純に比較はできないが,正しい知識があればパフォーマンスは問題ないとまつもと氏は言う。

 まつもと氏は,2009年の傾向として「経済状況が悪化しているが,後から振り返ればそのおかげでイノベーションが進んだということになるのではないか」と話す。「生存競争圧力が強いため,これまでのやり方を踏襲するのではなく,新しいやり方を模索することを迫られる」(まつもと氏)。生産性の優先度が高くなっており,ある程度のリスクをとってでも,本当に生産性が高い技術を採用する動きが高まるのではないか,とまつもと氏は指摘する。