オラクル製データウエアハウス(DWH)アプライアンス「Exadata」の共同展開で2月に提携したNTTデータと日本オラクルは、Exadataの性能検証を進め、NTTデータがDWHの開発案件に採用する予定だ。提携の狙いや今後の展開について、NTTデータの山田伸一 常務執行役員と日本オラクルの三澤智光 常務執行役員に聞いた。
NTTデータはこれまでも、日本オラクルの汎用的なデータベース(DB)を使ってDWHを構築している。アプライアンス製品を採用することにした理由は何か。
山田氏:確かに日本オラクルのDBを使って多くのDWHを構築してきたが、テレコムや流通のように大規模なDWHが必要な案件は例外で、システムを手作りしていた。汎用的なDBで十分な性能を出すのが困難だったからだ。こういったケースにExadataを利用すれば、より早く安価にシステムを構築できるようになると考えた。
三澤氏:今までも1Tバイトに満たない規模のDWHでは、他社に負けていなかった。ただここ1~2年で「大量のデータを処理したい」というニーズが急激に高まった。2年前には10Tバイト級のDWHは日本に数えるほどしかなかったが、今では珍しくなくなっている。
中小型のDWHの構築に必要な費用は5000万~1億円くらいだが、10Tバイトを超える規模になると30億~40億円になる。それほどの規模のシステムを手がけているベンダーは少ない。NTTデータにはそういった案件にExadataを採用してほしいと考えている。
DWHアプライアンスは日本オラクル以外のベンダーも提供している。そういった製品は使わないのか。
山田氏:そんなことはない。ただ当社が手がけてきたオープン系のDB構築案件のほとんどが日本オラクルの製品を使ったものだ。そのため、当社にはオラクル製品に精通した技術者が多い。Exadataが日本オラクルのDB同様に扱えるのであれば、利用しやすいのは確かだ。
NTTデータはどのベンダーの製品でもシステム構築に採用することを特徴にしているが、Exadataを利用する案件では、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールにオラクル製品を使用するのか。
山田氏:Exadataを採用する案件についても、今までとスタンスを変えるつもりはない。当社は顧客がBIツールを選択する際に最適な決断ができるよう、「データウェアハウス/ビジネスインテリジェンスラボ」サービスを提供している。このサービスを利用すれば、顧客は自社のデータを当社の検証システムにコピーし、複数のBIツールを使って比較・検証することができる。もし、顧客が他社のアプリケーションを使いやすいと感じるようであれば、そちらを薦める。
三澤氏:当然、Exadataと組み合わせて当社のBIツールを使ってほしいと考えている。だがExadataから見れば、技術的には「Any BI」、どんなBIツールにも対応できるようになっている。
今後の展開は。
山田氏:まず第一段階として性能を検証する。DWHを構築するシステムインテグレーション案件で、Exadataをシステムの一部に組み込み、しっかりと動作するかを確認する。問題がないことを確認できれば、今後1年間で5つの案件に採用することを目標に拡販していく。
三澤氏:これまでも当社で検証を繰り返してきたため、製品単体としての問題点は極小化されているはずだ。今後はネットワーク経由での利用など、システム全体で考えた場合にどうかを検証していくことになる。