欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間2009年3月26日,米国のインターネット・ギャンブルに関する法令について調査した結果を発表した。報告書の草案では,米国のリモート・ギャンブルに対する法律および欧州連合(EU)諸国に対する同法の適用は,世界貿易機関(WTO)の規則に反していると結論付けている。
今回の報告書は,英ロンドンを拠点とするギャンブル協会Remote Gambling Association(RGA)からの苦情申し立てを受けてEUが2008年3月11日から正式に実施した調査の結果をまとめたもの。米国による国外ギャンブル業者の市場参入の禁止およびこれら業者への不当な扱いはWTOの規則に矛盾するとしている。この報告書は暫定的なものであり,同日EU加盟国に配布された後,各国の意見をまとめた最終版が公開される。
欧州企業は,米国のオンライン・ギャンブル市場における過去のサービス提供についても,米国当局による法的措置の対象とされている。2006年に米国の規制の枠組みが変更された後,これら欧州企業は同市場から撤退したが,米国当局による法的措置の手続きは継続している。今回の報告書では,これらの手続きは法的に正当化されるものではなく,差別的であると結論付けている。
EU貿易事務官のCatherine Ashton氏は,「米国市場においてインターネット・ギャンブルを規制する最善の方法を決定するのは米国だが,その決定はWTOの規則を順守しなけばならない。この問題は,交渉によって解決できるものだと期待している」と述べている。
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