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写真●NTTドコモの加藤薫取締役常務執行役員経営企画部長
写真●NTTドコモの加藤薫取締役常務執行役員経営企画部長
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 NTTドコモは2009年4月17日,総務省の接続政策委員会で議論となっている「電気通信市場の環境変化に対応した接続ルールの見直し」(関連記事)に関する説明会を開催した。ドコモが説明会を開催するのは,先月に続いて今回が2回目(関連記事)。これほど頻繁にドコモが説明会を開くのは異例だ。

 同社の加藤薫取締役常務執行役員経営企画部長(写真)は,「総務省で実施された合同ヒアリングでソフトバンクは,同社が電波の距離が飛びやすい800MHz帯が割り当てられておらず2GHz帯しか持っていないために,ネットワーク構築においてNTTドコモやKDDIよりもコストがかかっていると主張した(関連記事)。これがあまりに理解し難かったので,電波の特性やドコモの取り組みについてきちんと事実を話したかった」と説明。ソフトバンクの一連の主張に対する反論を繰り広げた。

「都市部ではあえて電波を飛ばない努力をしている」

 NTTドコモは3G用の周波数帯として,800MHz帯と2GHz帯をメインに,東名阪バンドとして1.7GHz帯を利用している。加藤部長は「都市部では多くのユーザーを収容するために,ビルの上からアンテナを下に向け,自然の摂理に反して電波を飛ばないようにしている」と同社の取り組みを説明。電波が飛ぶ800MHz帯の基地局も2GHz帯の基地局と同様に狭いエリアを作っているため,ソフトバンクが主張する800MHz帯が有利という状況は,都市部ではほとんど無いとした。

 一方,都市部ほどユーザーが集中していない地方部では,800MHz帯と2GHz帯では2倍ほど距離の差が出るという。しかし都市部の基地局コストが1とすると地方の基地局コストは0.3程度で済んでおり,合計するとその影響は軽微とする。800MHz帯と2GHz帯それぞれの周波数を用いて全国エリアをカバーした場合,その設備コストの差は約5%程度で,ほとんど差は無いとした。ソフトバンクが合同ヒアリングの席で示した,2GHz帯のほうが800MHz帯よりも約1.7倍設備コストがかかるという試算に反論した形だ。

 さらに加藤部長は,ドコモは巨額の設備投資をして電波の有効利用に努めている姿勢を強調。同社はこれまでに全国に約7万6000局の基地局を設営し,累計の投資額は約3兆円に達しているという。これはソフトバンクモバイルの設備投資額の総計である約1.7兆円の倍近い額になる。

 加えてソフトバンクが主張する約5万5000局の基地局数には,約1万8000局の中継局が含まれていると指摘。ソフトバンクの一般的な基地局数は3万8000局程度に止まり,実はドコモが2GHz帯に設営している基地局数4万5000局よりも少ないのではないかとした。

鉄塔の共用は600局程度,「増やしたいが強度不足で無理なケースも多い」

 総務省の接続ルールの見直しの議論では,鉄塔など基地局設備を事業者間で共用化できるかどうかも論点になっている。

 加藤部長は「過去には鉄塔を最初に建てて,後から来る事業者を断ったケースがあったのも事実。しかし今は,設営コストを抑えるために,共用化の要望にはできるだけ答えていきたい」というスタンスを示した。現在,同社が鉄塔を共用しているのは600局程度という。ただ鉄塔のアンテナ搭載容量が限界に達しているケースがあり,「強度不足で共用が無理な場合も多い」(加藤部長)と指摘。鉄塔の共用化をルール化せず事業者間の協議に委ねるべきという,これまでのドコモの主張を繰り返した。

 加藤部長はこれらの指摘を踏まえ,「携帯電話事業者は電波という田んぼを借りて作物を育てる農家。まずは収穫を最大限にするために(設備投資を厚くするといった)努力をすべき。それを十分にせずにとなりの畑を貸してくれというのはおかしいのでは」と説明。ソフトバンクが主張する,ローミングの制度化が必要という意見に対しても反対する意見を展開した。