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写真1●「リーン開発」の専門家メアリー・ポッペンディーク氏。(撮影:柳生貴也)
写真1●「リーン開発」の専門家メアリー・ポッペンディーク氏。(撮影:柳生貴也)
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写真2●アジャイル ジャパン 2009実行委員長の平鍋健児氏。(撮影:柳生貴也)
写真2●アジャイル ジャパン 2009実行委員長の平鍋健児氏。(撮影:柳生貴也)
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 2009年4月22日,東京都内でソフトウエア開発のイベント「アジャイル ジャパン 2009」が開催された。基調講演には「リーン開発」の専門家であるメアリー・ポッペンディーク氏が登壇(写真1)。製造業の生産管理分野では昔から生産性と品質の向上に「人間性の尊重」が重要であるとされていることを確認しながら,ソフトウエア開発においても同じように人間性の尊重が重要であることを指摘した。

 リーン開発とは,トヨタ生産方式(TPS)を源流とするソフトウエア開発の方法論。ポッペンディーク氏は米3Mでリーン開発を実践してきた。「ハードウエアの分野ではTPS(トヨタ生産方式)の考え方が強く重視されているが,ソフトウエア分野ではまだそうなっていない」とポッペンディーク氏は述べる。

 その一方で,「人間性や現場重視の考え方が,昔から繰り返し強調されてきたことに注目したい」と語り,OJTやTWI(企業内訓練)など,20世紀前半に編み出された職業人の訓練・教育についての理論を紹介した。

 次に,戦後に大野耐一氏が体系化したトヨタ生産方式(TPS)を採り上げた。「TPSには,まさにソフトウエア開発の現場を改善するためのヒントが数多く盛り込まれている」(ポッペンディーク氏)。その一つが「標準」だという。標準は常に可変であること,現場が自主的に標準を定め自主的に変えられること,策定時から変更点がない標準には意味がないことなど,大野耐一氏の言葉を引用。ソフトウエア開発の現場で採り入れたいエッセンスをあらためて確認した。

現場と組織を整合させるのがリーダー

 ポッペンディーク氏は,工場の生産管理で培われた理論を引きつつ,リーダーに求められる資質や能力についても触れた。まず挙げたのは,部下に自己の能力をフルに発揮できる環境を与えることや権限委譲の重要性である。「現場が自分で考え,自分で判断し行動できる環境が,高い生産性と品質につながる」(ポッペンディーク氏)。

 ただ,ポッペンディーク氏の主張は,企業や組織全体の方向性を無視するわけではない。アジャイル ジャパン 2009の実行委員長である平鍋健児氏(チェンジビジョン社長,写真2)は,「リーン開発におけるリーダーのスタイルは,『一緒に考えよう』の一言にまとめられる」と補足する。

 「顧客の求める価値」と「会社の繁栄」の両方に貢献するように整合させるのがリーダーの役目であり,それを全うするようなシステムを作るべきというのがその主旨だ。「今やっている仕事が顧客と組織全体のメリットにつながっているのかを常に考えることと,現場や一人ひとりの主体性を重視することを両立させるのが,リーン開発におけるリーダーの理想のスタイルだ」(平鍋氏)。