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GPLv3の「Installation Information」についての議論
GPLv3の「Installation Information」についての議論
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左からIPA オープンソフトウェア・センター長 田代秀一氏,IPA 理事 仲田雄作氏,リーガル・タスクフォース主査 江端俊昭氏,弁護士 上山浩氏
左からIPA オープンソフトウェア・センター長 田代秀一氏,IPA 理事 仲田雄作氏,リーガル・タスクフォース主査 江端俊昭氏,弁護士 上山浩氏
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 情報処理推進機構(IPA)オープンソフトウェア・センターは2009年4月23日,GNU GPL(General Public License)バージョン3(v3)の解説「GNU GPL v3 逐条解説書(第1版)」を公開した。

 GPLは,Free Software Foundationが策定しているオープンソース・ソフトウエア・ライセンス。Linuxなど多くのオープンソース・ソフトウエアが採用しいる。Linuxが採用しているのはバージョン2だが,2007年に新版であるバージョン3が公開されている。

 逐条解説書はIPA オープンソフトウェア・センターのリーガル・タスクフォースが作成した。作成にあたっては,GPLの条文を実際に起草したSoftware Freedom Law Center(SFLC)のEben Moglen氏の協力を得て,条文の解釈についての質疑を行った。ただし「SFLCの解釈をそのまま伝えるのではなく,我々が主体的に解釈した上でSFLCに確認した」(リーガル・タスクフォース主査 江端俊昭氏)。

 GPLバージョン3では,バージョン2に比べて「ソフトウエア開発の自由」を確保するためのいくつかの条件が追加されている。しかし「これらの新しい条件がGPLソフトウエアのビジネスでの活用を妨げることは望ましくない」(IPA オープンソフトウェア・センター長 田代秀一氏)。このため,GPLソフトウエアのビジネス活用という視点から条文を検討した。特に日本が得意とするデジタル家電分野では「デジタルTVのチューナーが,ほぼ100%Linuxを搭載するなど,オープンソース・ソフトウエアが広く利用されている」(田代氏)。GPLの解釈が問題になることも多い組み込み機器での解釈に関する記述も多数記述している。

 例えばGPLv3では,ソフトウエアを書き換えるための暗号化キーなど「Installation Information」の提供を義務付けている。この条文に関しては,「政府の規制など正当な理由に基づく書き換え禁止は可能」,「書き換えのために特殊なツールや機材を必要とする場合,それを提供する必要はない」といった解釈を示している。

 GPLv3の初期の草稿では,DRM(デジタル著作権管理技術)利用について厳しい制限が盛り込まれていた。しかし「最終的にはGPLv3の正式な条文ではコピー・ガードやコピー・プロテクトにDRMを使用することは,実務上はほとんど問題ないところに落ち着いている」(IPA オープンソフトウェア・センター リーガル・タスクフォース委員の上山浩弁護士)。

 またIPAでは,GPLv3だけでなく,GPLv2を解釈する上でも参考になるとしている。「GPLv3は,GPLv2で解釈が曖昧だった条文を明確化した部分がかなり含まれている」(上山氏)ためだ。

 「GNU GPL v3 逐条解説書」はPDFファイルとして「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス表示―非営利―改変禁止2.1」で公開しており,非営利目的であれば無償で利用できる。

 IPAの田代氏は「ライセンスも,欧米で作成された条文や解釈をただ受け入れるのではなく,戦略を立てて主体的に利用すべき」と話す。実際にIPAではIPAフォントの配布にあたり独自のオープンソース・ライセンスを策定した。また上山氏は「GPLはよくわからないのでGPLソフトは一切利用しないという企業もあるが,それは合理的な態度ではない。GPLを理解し,戦略的に使っていくべき。逐条解説はそのための材料を提供する」と語った。

◎関連リンク
「GNU GPL v3 逐条解説書」ダウンロード・ページ(OSS iPedia)