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写真●国際会計基準審議会理事の山田辰己氏
写真●国際会計基準審議会理事の山田辰己氏
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 「国際会計基準(IFRS)に対して2011年6月までに改定された内容は,日本の会計基準に反映される。IFRS改定の動向に注意してほしい」---。2009年5月15日,都内で開催された「国際会計基準フォーラム IFRSが企業に与える衝撃」の基調講演に国際会計基準審議会(IASB)理事の山田辰己氏(写真)が登壇。IASBと米国財務会計審議会(FASB)が進めている「MOU(Memorandum of Understanding:覚書)」プロジェクトについて,最新の状況を報告した。

 MOUは,IFRSと米国会計基準の統合化に向けたプロジェクトである。2011年6月までに,8項目のIFRSの改定を予定している。IFRSへのコンバージェンス(収れん)に関する東京合意により、2011年6月までに改定される内容は,早ければ2012年までに日本の会計基準に採用される。最短で2015年にIFRSを強制適用する見込みだ。

 MOUが改定を予定しているのは,(1)収益認識,(2)公正価格測定,(3)連結方針,(4)金融商品の認識の中止,(5)財務諸表の表示区分の統一,(6)退職後給付の会計処理,(7)リース会計,(8)金融商品に関する現行基準の見直し,(9)資本と負債の区分の9項目。このうち(8)を除く8項目を2011年6月までに改定する予定だ。

 山田氏はこれら8項目のうち,日本企業にとって特に影響が大きいものとして(1)収益認識と(6)退職後給付の会計処理の2項目を挙げた。

 収益認識について,MOUが提案している変更方針案は「商品やサービスの支配が顧客に移転した時点を収益認識時点(売り上げを計上するタイミング)とする」(山田氏)というもの。企業は,顧客と契約を結ぶと同時に履行義務(顧客に商品やサービスを提供する義務)が発生する。この履行義務が消失した時点を収益認識時点とする。

 上記のように収益認識時点が一義的に決まると,「たとえば,テレビに2年間の製品保守サービスを付けて販売した場合,テレビ本体の収益認識時点は販売時だが,保守サービスの収益は時間の経過とともに認識する」(山田氏)。保守サービスの料金が2000円だった場合,1年目に1000円を認識し,2年目に1000円を認識することになる。

 退職後給付の会計処理の変更方針案は,「退職給付金の期首の資産見積もり額と実績との間に差異が発生した時点で,当期利益のレベルで認識する」(山田氏)というもの。この改定について山田氏は,「年金資産を時価評価して発生する評価損も,発生した会計期に計上するので,企業の業績への影響が大きい」と指摘した。

■変更履歴
記事公開時の1段落目に「2009年5月25日」とあったのは「2009年5月15日」の誤りです。3段落目で「改定を予定している8項目は」とありましたが,正確には予定しているのは9項目で,うち8項目が2011年8月までの改定を予定しているので,その個所を修正しました。他に誤解を招く恐れのある個所を修正しました。[2009/5/15 20:25]