PR
ミクシィ代表取締役社長 笠原健治氏
ミクシィ代表取締役社長 笠原健治氏
[画像のクリックで拡大表示]

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「mixi」を運営するミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏は2009年5月21日、札幌市で開催されている「Infinity Ventures Summit 2009 Spring」で「オープン化するmixi - 次世代へ進む日本のSNS」と題した講演を行った。

 笠原氏は4月23日に発表した「mixiアプリ」を中心にミクシィのオープン化戦略を紹介。現在、1700万人いる会員のコミュニケーション活発化、および会員増を、mixiのプラットフォームを開放することで実現すると主張。個人、企業問わず面白いコミュニケーションサービスを出していける枠組みを用意していきたいとmixiアプリへの思いを語った。

 笠原氏はmixiアプリの大きな特徴を三つ挙げた。日本最大のSNSでソーシャルアプリケーションを提供できるということ、パソコンとケータイで同時に展開するのは世界初であるということ、ソーシャルアプリケーションのプロバイダー向けのビジネス支援プログラムを用意していることだ。

 「ミクシィの売り上げは120億~130億円。これを超える企業が生まれてきてもおかしくない」(笠原氏)とし、開放したプラットフォーム上でビジネスを展開する企業が多く出てくることに対する期待を強く打ち出した。

 特に笠原氏はケータイにおけるソーシャルアプリケーションの開発意義を強調。「現時点でケータイSNSにおけるアプリ開発環境を整えている企業はまだなく、(海外SNSで始まった時に)すぐに進出していけるアドバンテージは大きい」と語った。また、「今は1996~1997年ころのインターネット普及時、そして1999年のiモード登場時と似たようなチャンスを迎えている時だ」とし、SNSをプラットフォームとした新規ビジネスを開拓するフェーズにあることを主張した。

ミクシィの役割は“道路”や“信号”の整備

 続くパネルディスカッションは、「必見 ソーシャルゲームバトルロワイヤル!」。「MySpace」や「Facebook」といった海外のSNSで、既にソーシャルアプリケーションのビジネスを展開している米ロックユー創立者兼CTO(最高技術責任者)のジア・シエン氏と米ジンガの共同創立者兼MMOディビジョンゼネラルマネージャーのエリック・シェルマイヤー氏を招いて議論が交わされた。

 ここでは2社ともにソーシャルアプリケーションの可能性を語った一方で、モデレーターや会場からさまざまな質問が寄せられた。

 例えば、非常に集客力があるアプリをコンテンツプロバイダー側が開発した場合、プラットフォームを提供するSNS運営企業側が公式アプリとして自社で真似して作ってしまうのではという懸念。実際に中国のSNSで同様のケースが起きていることを受けての質問だったが、ミクシィのmixi事業本部長である原田明典氏は「人気のあるアプリをミクシィが作ることはない」と断言。「我々の役割はmixiユーザーが使いやすい環境を作ることであり、道路や信号などを整備する公共としての役割を担う」(原田氏)とし、決して中国のような事態にはならないと主張した。

 また、モデレーターをつとめたインフィニティ・ベンチャーズLLP共同代表パートナーの田中章雄氏による「既存のゲームソフトウエア企業が同プラットフォームに参入してきた場合は脅威か?」という質問に対し、ロックユーのジア氏は「日本の大手ゲームソフトウエア開発企業はソーシャル要素を持ち合わせていない。むしろ、韓国や中国などのMMO(多人数同時参加型)ゲームを開発している企業の方が脅威。ソーシャルアプリケーションのことも、どうやって安く作るのかも知っている」とし、既存大手ゲームソフトウエア企業の参入は脅威にならないとした。

 欧米から押し寄せてきたSNSのオープン化の波。ただ、現時点では国産SNSでオープン化を具体的に実行に移しているのはミクシィのみだ。むしろ、「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーや「GREE」を運営するグリーは、自社が投入するゲームにおけるデジタルコンテンツ販売で売り上げを急拡大させている。

 長期的な事業育成の趣の強いプラットフォーム化か、短期的に収益を上げられる利益率の高いデジタルコンテンツ販売か。SNSのビジネスモデルは徐々に多様化してきている。