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写真1●日本Androidの会の丸山不二夫会長
写真1●日本Androidの会の丸山不二夫会長
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写真2●米グーグルのクリス・プルエット デベロッパーアドボケイト
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 Android関連の開発者コミュニティ「日本Androidの会」は2009年6月26日,講演会「Android Bazaar and Conference 2009 Spring」を開催した。7月上旬と見られるNTTドコモの端末発売を控え,開発者のAndroidに対する関心はますます高まっている。会場には多くの来場者が集まり,熱心に耳を傾けた。

 まずは基調講演として,早稲田大学の客員教授で日本Androidの会の丸山不二夫会長が登壇し,Androidの将来展望を語った。丸山会長は,ムーアの法則によってコンピュータの性能が格段に進歩したことを説明。その実例として,1975年に開発されたスーパー・コンピュータ「CRAY-1」のスペックを示した。CRAY-1のCPUは動作周波数が80MHz,メモリーは4Mバイト。これに対して,2008年に登場したAndroid端末「T-Mobile G1」はCPUが528MHz,メモリーは192Mバイトを搭載している。

 これと同様に「日本に出回っている携帯のほとんどはCRAY-1の何倍もの性能がある。昔の地方の銀行のコンピュータ処理くらいなら携帯でできるというわけだ」(丸山会長)として,日本では一億人がかつてのスーパー・コンピュータを持ち歩いていると説明した。

 ハードウエアと同様にネットワークの進化も著しい。日本ではパソコンが普及するとともに,インターネットの利用が一般化。2001年以降は光回線などのブロードバンドが広がった。これと同じ変化が携帯電話でも起きる,と丸山会長は予測する。「端末の普及,携帯でのネット利用という段階は,日本では既に終わっている。今後は携帯のブロードバンド化が進む」としてWiMAX,XGP,LTEなどがその役割を担うと説明した。

 さらに,これらの高機能化した携帯端末が,クラウド・コンピューティングの中で大きな役割を担っていくと展望する。クラウドがユーザーを相互につなぐ状態になれば,人間がスムーズに情報を生み出し,素早くクラウドへ情報を送り込むための手段が求められる。そうしたツールとして携帯端末が利用されるという。「クラウドとモバイルは持ちつ持たれつの関係になるだろう」と丸山会長は予測する。

 中国やインドなどで携帯電話の販売台数はまだ伸びており「あと1年か2年で世界の携帯電話の台数は50億台を超える」(丸山会長)。その一方,携帯電話でインターネットを利用している数は,現状で15億台程度に過ぎない。新興国などでは,ネット機能を搭載していない低価格端末を利用しているユーザーが多いからだ。こうした地域に対し,携帯電話のネット利用を推進する役割を果たし「壁を埋めていく役目を果たすのはAndroidではないか」(丸山会長)という。こうしたAndroidの世界的な普及に向けては大きな可能性があり,日本のIT,ものづくり,コンテンツ作成の技能が発揮できる大きなチャンスだと技術者に呼びかけた。

グーグルはAndroidアプリの審査はしない

 続いて米グーグルのクリス・プルエット デベロッパーアドボケイトが,ソフトウエア開発者に向けてAndroid用アプリの開発を呼びかけた。「日本には携帯アプリの経験が豊富な開発者が多い。それだけに,日本で成功を収め,そのコンテンツを世界に配信できるようになれば,Androidの時代が来る」(プルエット氏)と大きな期待をかけている。

 NTTドコモが7月下旬に発売するHT-03Aに合わせて,国内向けにアプリ配信プラットフォーム「Androidマーケット」が開始となる。グーグルは開発されたアプリの審査はせず,開発者が登録すれば,即座に配信される。これは,開発者の参入のしやすさを優先したためだ,とプルエット氏は説明する。なお,問題のあるアプリが発見されれば削除する。これはYouTubeなどと同じ運営方法だという。

 国内のAndroidマーケットでは,1~2カ月は有料アプリは取り扱わず,無料アプリのみを配信する。これはクレジットカードの入力などの手間をかけずに,アプリをダウンロードする利用法に慣れて欲しいからだという。そのほか,開発者にはアプリの日本語化やコンテスト「Android Developer Challenge 2」への参加を呼びかけた。

 NTTドコモのフロンティアサービス部の山下哲也 アプリケーション企画担当部長や,KDDI研究所 開発センターの堀内浩規フロンティア開発部門担当執行役員も講演した。

 NTTドコモの山下部長は「1999年にiモードに取り組み,大きなエコシステムを作った。それから10年,私たちはAndroidに取り組む」としてAndroidの参入が同社にとって大きな転換点であると定義した。これまでの携帯電話事業者は携帯電話のハードウエアの違いで他社と競争をしてきたが,今後は「ハードの勝負ではなく,アイデア,サービスで勝負しなければならない」として,開発者への支援を強化してアイデアの具現化に共に取り組んでいきたいと決意表明した。

 KDDIの堀内執行役員は,従来の携帯電話向けアプリのような携帯電話事業者主導のクローズドな開発方法とAndroidのようなオープンな開発手法の違いを述べ,「オープンとクローズド,バランスを取りつつ,さまざまな機器やアプリの流通がスムーズに流通できるように事業を展開していきたい」と方針を示した。