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写真1●公開したプログラマブルフロー・スイッチ(右)と制御サーバー(左)
写真1●公開したプログラマブルフロー・スイッチ(右)と制御サーバー(左)
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写真2●「大規模データのストリーム処理」についてはシンクライアントの稼働状況をリアルタイムに把握し,稼働させるサーバーの数を少なくするという様子を見せた
写真2●「大規模データのストリーム処理」についてはシンクライアントの稼働状況をリアルタイムに把握し,稼働させるサーバーの数を少なくするという様子を見せた
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 NECは2009年6月29日,研究開発部門が取り組んでいるIT関連技術を公開した。同社では,開発の投資効果を高めるために,オープン技術の採用や,ユーザーの要望を研究に取り入れるといった取り組みを進めている。そうした方針に沿って研究してきた項目の中から「プログラマブルフロー・スイッチ」「大規模データのストリーム処理」「音声認識」の3つを紹介した。

 プログラマブルフロー・スイッチは,あて先や送信元のMACアドレス,IPアドレス,アプリケーションの種類などによってきめ細かく経路制御をする技術「OpenFlow」(関連記事)に対応した通信機器。同社では「インターネットのメカニズムを一新する」(NECの陶山茂樹支配人)可能性がある技術として期待をかけている。

 ネットワーク上には,プログラマブルフロー・スイッチのほかに,ネットワーク全体を制御するサーバーを設置する(写真1)。このサーバーがネットワーク全体を監視し,それぞれのデータがどのような経路を取るべきかを判断して,スイッチに指示を出す。従来のIPアドレスをベースとした経路制御と比べて,自由度の高い運用ができることから,通信事業者にとって「ルーターのメーカーが実装した機能をそのまま使うのではなく,独自のサービスを実現しやすくなる」(陶山支配人)メリットがある。将来的には,世界中に点在するコンピューターをプログラマブルフロー・スイッチで結びつけ,高効率のクラウド・コンピューティング網として利用することを構想している。

 2番目の「大規模データのストリーム処理」は,多種多様なセンサーから生成される膨大なデータをリアルタイムに収集し,分析するための技術。例えば,道路を走る自動車をセンサーに見立てることでリアルタイムの渋滞状況をより正確に表示するといった用途に利用できる。ほかにも,大量のシンクライアントを運用している場合に,個々のシンクライアントの利用状況をリアルタイムに把握しながら,処理を一部のサーバーに割り振ることでデータ・センター全体の省電力化が実現できる利用方法を考えられる(写真2)。大量データの処理を実現するために,処理を分割して流れ作業のようにデータを分析するストリーム処理技術を開発した。さらに,前回の計算結果を再利用するアルゴリズムで計算を高速化しているという。

 3番目の「音声認識」は,同社が1960年から研究を続けているもの。これまでに,チケット予約で使われる電話認識サーバーなどを開発してきた。最近では自治体や企業で使われる議事録作成を支援するサービスも実施している。裁判所へ導入する研究も進んでおり,8月から始まる裁判員制度における裁判でも,議事録作成サービスの運用ができるよう準備を進めている。今後は,SaaS型サービスの提供に力を入れるとともに,紙めくりなどの雑音に影響を受けなくするといった改良を進める。