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写真●米マーケティング・エボリューションCEO(最高経営責任者)兼 創設者のレックス・ブリッグス氏
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写真●日本コカ・コーラのバイスプレジデントマーケティングオペレーションズの鈴木祥子氏
写真●日本コカ・コーラのバイスプレジデントマーケティングオペレーションズの鈴木祥子氏
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写真●モデレーターのCMOワールドワイド代表取締役社長の加茂純氏
写真●モデレーターのCMOワールドワイド代表取締役社長の加茂純氏
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 2009年6月30日,都内で開催された「NET Marketing Forum 2009」の基調パネル「米国,日本で進むデジタルマーケティング・イノベーション--迫られる変革 今,企業は何をすべきか」では,マーケティングROI(投下資本利益率)分野の世界的権威で,米マーケティング・エボリューションCEO(最高経営責任者)兼 創設者のレックス・ブリッグス氏と日本コカ・コーラのバイスプレジデントマーケティングオペレーションズの鈴木祥子氏が登壇。CMOワールドワイド代表取締役社長の加茂純氏がモデレーターを務め,マーケティングROIを改善するうえで企業のマーケッターはどうすべきかといったポイントや,日米の企業のマーケティングの違いなどについて意見を交わした(写真)。

 冒頭,レックス氏は「企業の広告経費の37%が無駄になっている」と指摘した。企業は厳しい経済状況の中,いかに売上高を増加させて企業を成長させるかを考える一方で,マーケティングへの投資に弱気になっている。この状況をチャンスととらえ,「競合企業より先にマーケティングROIの改善を行うことで競争優位に立つことができる」と主張した。

 マーケティングROIを改善するうえでは,施策を行う前にどういった効果を生み出すかを予測し,実施中に何が起こっているかをきちんと測定できるかが成功のカギを握るという。その一つの例としてレックス氏は,メディアミックスの最適化を挙げた。まず,消費者がメディアをどのように利用しているかを知り,また消費者のセグメントの理解,どういったことがモチベーションになるかを調べる。そのうえで,メディアごとのベストプラクティスを明確にすることがマーケティングROIを改善につながり,売上高と利益の向上をもたらすと説明した。

 続けて,レックス氏は米フィリップスの事例を紹介した。同社は,マーケティングの予算を削減するのではなく,アプローチを変えるなど,新たなマーケティングに取り組むことが業績改善につながると考えたという。そこで,プランニングの段階や施策実施中の分析を強化して,メディアミックスを改善。同社の製品「Norelco 4th」の売り上げは4倍になったと成果を明かした。

セグメントと目的に合わせたメディアの選択が重要に

 次に,日本コカ・コーラの鈴木氏が登壇して講演を行った。鈴木氏は「テレビCMの枠を多く購入すれば売り上げが上がるという手法は過去のもの。消費者にコンタクトして,適切なメッセージを与えることが重要になってきている」と,ネットの普及以降,マーケティングの手法が変わったと説明。10~20代はネット接触率が増えている一方で,30~40代はメディア自体への接触率が減少しており,買い物の時間も短いため,メーカーはリーチしにくくなっていると解説した。

 日本コカ・コーラではそうした背景から,現在は消費者を中心に置いて,ブランドごとに最適なコンタクトポイントからメッセージを伝えるマーケティング活動を展開している。その際には,多様化する消費者の嗜好性や行動パターンを分析したうえで,セグメントの特性に合わせたメディアの選択が重要になると説明した。メディアによって得られる成果の違いについて,2009年春に展開したコーヒー飲料「ジョージア」のキャンペーンの事例を紹介。最も購買意欲の向上に寄与したのはテレビと雑誌だったと語った。一方で,ブランドイメージと認知度向上にはOOH(屋外広告)の効果が高かったことを明かした。

 また同社は,さまざまな企業と共同で行うマーケティングの展開にも力を注ぐ。鈴木氏は日本コカ・コーラが他社と共同で行ったマーケティング事例を二つ紹介した。まず,無料会員サイト「コカ・コーラ パーク」の会員登録促進キャンペーンでは,フジテレビのクイズ番組「クイズ!ヘキサゴン」とコラボレーションした。キャンペーンではクイズ!ヘキサゴンのスタジオセットと出演者を使った,シームレスなミニコーナーを放送した。「ファンタ」のキャンペーンでは,ケータイ向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「GREE」でオリジナルのゲームを提供。1000万回以上利用される成果を上げた。

 パネルディスカッションでは,マーケティング手法が変化する中,企業のマーケッターは何をすべきかとモデレーターの加茂氏が問うとレックス氏は,広告代理店もクライアントもマーケティングROIを上げる必要があることを理解すべきと主張した。マーケティングROIを向上させるとっかかりとしては,新しいキャンペーンをするうえであらかじめ計画をして,実施中に分析しながらキャンペーンに修正をかけていくことがよいという。その際,より消費者視点で効果を詳細に測る必要性があると答えた。そのためにも,誰がいつまでにどういうアクションをするのかを綿密に計画すべきと説明した。

 鈴木氏は,「基本に戻って消費者を知ることが重要」という。また,マーケティング活動において誰も正解を持っていないので,新しいマーケティング手法への挑戦と分析を繰り返し,教訓や知恵を振り絞って前進することがマーケティングの成長につながると意見を述べた。

 日米の企業のマーケティングの違いについては,「外資の企業はいい意味で失敗を許す土壌がある。一方日本の企業は,意思決定をするのに数カ月かかる。そのため,日本の企業がマーケティングの実施をするころには,外資の企業は施策の実施から分析を終え,次の施策に取り組んでいる」(鈴木氏)と,マーケティング活動を行うスピードに大きな違いがあると説明した。