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写真●プライスウォーターハウスクーパース コンサルタント(PwC)の内田士郎 代表取締役社長
写真●プライスウォーターハウスクーパース コンサルタント(PwC)の内田士郎 代表取締役社長
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 「本当に需要はなくなったのだろうか?」。2009年7月1日~3日に東京都内で開催されている「IT Japan 2009」に登壇したプライスウォーターハウスクーパース コンサルタント(PwC)の内田士郎 代表取締役社長(写真)は,大不況に直面している市場の現状認識に関して来場者にこう問いかけた。

 内田社長が指標として持ち出したのが,年齢別のスペンディング・ウェーブ(消費の波)。「住宅ローンや教育費などで40歳代が消費のピークを迎える」という考えと,年齢別の人口構成分布をもとに,景気の浮沈を判断しようというアプローチである。そのスペンディング・ウェーブに基づくと,米国は既に2005年にピークを迎え,現在は下降局面にある。内田社長は,今回の不況にウェーブの下降が符合しているのが興味深いとした。一方,日本は下降局面だったものの,これから団塊ジュニアと呼ばれる世代が40歳代に達することで上昇局面を迎えていくとする。

 この指標を基にすると,さらに期待が大きいのが中国である。従来は世界の生産工場と呼ばれていた中国は,今後は消費大国になると内田社長はみる。日本企業にとっては「売り上げにどうつなげていくかかがチャレンジになる」とした。

 さらに世界に目を向けると,全体では右肩上がりのトレンドであり「需要は必ずある」(内田社長)。世界のどこかに出てくる需要に対して,どのように照準を合わせていくのかが企業にとってはポイントではないかと指摘した。

 今回のIT Japan全体のタイトルは「大淘汰時代を勝ち抜く」だが,PwC自身が大淘汰の中で激動の1年間だったと内田社長は振り返る。同社前身のベリングポイントは,米国本社が2009年2月にチャプター11(日本の民事再生法に相当)を申請したことを受けて日本法人が分離・独立,プライスウォーターハウス・グループ傘下に入り,2009年5月に新体制で発足したからだ。

 その再編期間中のエピソードの一つとして,全社総会にソフトバンクの孫正義社長を招いたことを紹介した。米国本社の経営破綻で社員のモチベーション低下を心配,そこで孫社長にビジョンや志の重要性を語ってもらおうという趣旨だったという。その後「チャプター11がファイルされ,逃げ出したくなるような状態」(内田社長)だったものの,社員が「顧客を不安にしてはいけないという思いで,プロジェクトを最後まで遂行したことには感謝している」とした。最近行ったアンケートでは,「淘汰という荒波の中で,社員の意識が高まった。結束力が高まった」という声が多かったことを紹介した。

 講演の締めくくりとして内田社長は,情報の重要性をジグソーパズルに例えた。パズルのピースを情報と考えると,ピースを組み上げて絵を作るのが経営ということになる。しかし,現在の経営状態は「すべてそろっているか分からない」「違う情報が入っているかもしれない」「どんな完成図かも分からない」という不確実性の中にあると内田社長は見る。同社長は「いくら情報を集めても,それだけでは結果が何も見えてこない」とし,認識力と集めた情報に付加価値を付けていくことの重要性が増すだろうという見解を示した。

 内田社長は,今後,企業が必要な要素として,客観的認識,創造的破壊と革新の継続,組織の活性化,ワールドクラスの人材とサービスという4点を挙げた。「日本企業が世界で実力を示して成功していく」ことをライフワークとする内田氏は,日本企業を継続的に支援していきたいとして講演を締めくくった。