PR
写真●日本ユニシスの角泰志 常務執行役員ICTサービス部門長
写真●日本ユニシスの角泰志 常務執行役員ICTサービス部門長
[画像のクリックで拡大表示]

 2009年7月1日に都内で開催された「IT Japan 2009」で、日本ユニシスの角泰志 常務執行役員ICTサービス部門長が「実用化したクラウドICTサービス ~まだ買い続けますか? サーバーを…~」と題して講演を行った。仮想化などの要素技術に目が向きがちなクラウドコンピューティングだが、「クラウドの本質はテクノロジーの進化ではなく、使い方の変化だ」と角常務執行役員は断言。クラウドコンピューティングを利用する企業に起こる環境の変化を力強く語った。

 角常務執行役員はまず、クラウドコンピューティングの意義を分かりやすく解説した。クラウドを利用する企業は、必要なIT(情報技術)リソースをネット経由で利用できるようになり、自前でIT(情報技術)リソースを保有・運用する必要が無くなる。その結果、企業はITリソースやデータの保管場所を意識せずに済むようになる。コンセントにプラグをつなげば電気を利用でき、発電所の場所を意識しないのと似ている。これが角常務執行役員が言うところの使い方の変化だ。

 このような使い方の変化は当然、企業のIT担当者やエンドユーザーにITとのかかわり方についての変化をもたらす。例えばIT担当者は、現状では業務時間の7割を費やしているともされるシステムの運用・保守業務から解放される。システムの企画や設計のような戦略的な業務に時間を割けるようになる。エンドユーザーにとっては、必要なときに必要な量のITリソースやソフトウエアを使える状態が実現する。

 さらに角常務執行役員は、IT投資やシステム設計のあり方にも大きな変化が起こると主張する。従来のようにITリソースを自前で整備する場合は、利用量のピークや数年後の利用増加を予測したうえで、余裕を持ってシステムを設計しなければならなかった。これに対しクラウドコンピューティングでは、ユーザー企業が実際に利用したITリソースの「量」に応じた課金体系となる。無駄な投資コストを抑えられるわけだ。システムの利用範囲が広がった際にも、最短数時間という短い期間でシステムを増強できる。企業から見ればサービスを受ける形態になるため、自社専用の仕様では利用しにくい面もあるが、「仕様を割り切ることで、ITを低価格で利用できる」と角常務執行役員は強調した。

話題性の段階から実用段階へとシフト

 このような現状を踏まえ、角常務執行役員はクラウドコンピューティングは一時の話題性が先行していた時期から、実用段階に入ったと主張する。実際にクラウドが定着しつつある米国では、米グーグルや米セールスフォース・ドットコムなどクラウドサービスそのものを提供する事業者だけでなく、複数のクラウドを連携させるサービスを提供する事業者も登場しており、サービスの幅も広がっているという。

 もっとも、ユーザー企業にとってはシステムの安定性など不安に感じられる点がある。そこで角常務執行役員は、システムの可用性、データの機密性、障害発生時のサポート体制などの不安要素を挙げ、それぞれの現状を説明してみせた。例えば可用性については、セールスフォース・ドットコムの営業支援システムが99.9%を保証しているように、現状で十分な水準であること、障害対応はクラウドサービスを提供する事業者次第であることを説明した。

 ただし角常務執行役員は、クラウドコンピューティングをフルに生かすには課題があることも率直に認めた。「日本企業は欧米の企業と比べると外部にデータを預けることに対する不安が強い」(角常務執行役員)。このようなユーザー企業の意識に加え、法律の整備が十分ではないという課題もあることから、社内のデータを海外のデータセンターに預けるようなドラスティックな形態には当分ならないだろうと見る。クラウドのシステム自体は海外で開発しながらも、ユーザー企業が実際に利用する環境は国内のデータセンターに用意するのが現実的な体制という。とはいえ、「ITリソースやデータの所在地を全く意識せずに活用できる環境が理想」(角常務執行役員)。理想的な環境が実現できるようにサービス強化などに力を入れていくとして、講演を締めくくった。