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 エンバカデロ・テクノロジーズは,同社の主力開発ツールの新版「Embarcadero Delphi 2010」「同C++Builder 2010」「同RAD Studio 2010」(前者二つとDelphi Prism 2010を含む)を,2009年8月25日にダウンロード可能にすると明らかにした。米太平洋時間で8月25日の午前0時,日本時間では午後4時に同社のWebサイトでダウンロード版を購入可能になる。光ディスクのメディアを含むパッケージも発売するが,その日程は未定。価格もまだ決まっていない。

 新版の最大のポイントはWindowsの新版「Windows 7」に対応すること。Windows 7上で開発/実行ができ,Windows 7の新機能であるDirect2D,マルチタッチなどを活用するクラスを追加した。Direct2Dは2次元描画を行う新API(Application Programming Interface)で,DelphiなどではTDirect2DCanvasを使うことで,従来のキャンバス(TCanvas)と同様のコーディングで,より高品質な描画が行える。画像の回転や,文字のアンチエイリアス処理がより簡単にできるなどのメリットがある。

 マルチタッチは複数の指を使って操作を行うWindows 7の新機能。これはWindows 7でないと使えないが,1本の指を使う「ベーシックタッチ」,指やマウスの動きによってイベントを発生させる「ジェスチャー」といった機能は,Vistaでも,またタッチパネルがないパソコンでも利用できる。TGestureManagerなどのコンポーネントが用意され,30以上の標準ジェスチャーに対応するイベント処理を記述できる。独自のジェスチャーを登録するデザイナーも用意している。キーボードのない環境を考えたTTouchKeyboardコンポーネントも用意した。

 他の強化点も見ていこう。統合開発環境(IDE)では,F6キーを押して「IDEインサイト」画面を呼び出し,キーボード操作ですべての機能にアクセスできるようにした。コードを整形する「コードフォーマッタ」もIDEの新機能だ。デバッガは,データの表示方法を改良し,マルチスレッドのプログラムでは特定のスレッドだけを実行できるようにした。オープンソースのデータベース管理システム「Firebird」への接続機能を追加したのも今回からだ(Firebird 1.5/2.1.1対応)。

 言語ごとの改良としては,Delphi for Win32では,RTTI(Runtime Type Identification)を可能にした。クラスやメソッドの情報を実行時に取得でき,クラスにアトリビュート(属性)を記述する構文も追加した。Javaや.NETで可能だった「リフレクション」と同様なプログラミングができるという。C++では「#pragma once」のサポート,セキュリティ強化関数(例えばgetsのセキュリティ強化版であるgets_sなど)などの機能が追加された。Delphi PrismではAOP(Aspect Oriented Programming)を可能にする機能などを追加した。

 今回の新版はこれまで「Project "Weaver"」と呼ばれていたものだ。現在さらに,(1)Project Delphi "X",(2)Project "Chromium",(3)Project "Commodore"という三つの開発プロジェクトが進められている。(1)はWindows上でのMac OS用,Linux用のネイティブ・バイナリ・コード生成,(2)はデータ・バインディング・モデルの根本的な改良,(3)はx64のネイティブ・サポートを目指すものだ。x64用のコンパイラ,ライブラリについては「なるべく早い段階でプレビュー版を出し,半年くらいかけて完成へ持っていきたい」(同社)という。