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 企業の会計基準などを決めている企業会計基準委員会(ASBJ)は2009年9月2日、IFRS(国際会計基準)へのコンバージェンス(収れん)について、最新の「プロジェクト計画表」を発表した。2011年までの計画を示している。

 コンバージェンスは日本の会計基準とIFRSとの差異を縮める取り組み。今回示したプロジェクト計画表で、退職給付や金融商品など16項目の会計基準について今後の変更計画を示した。ASBJの西川郁生委員長は「計画表はいつ何を公表するかを示したもの。結論を示しているわけではない」と強調した。

「のれん」や「包括利益」は10年に前倒し

 ASBJがプロジェクト計画表を発表するのは07年12月、08年9月に続いて3回目。コンバージェンスは、すでにIFRSを採用しているEU(欧州連合)と日本の会計基準を同等とみなすために実施する「短期」、IFRS自体との差異を修正するための「中期」、IFRSと米国会計基準のコンバージェンスプロジェクトに追従するための「中長期」の三つのフェーズで実施している。

 今回は「中期」プロジェクトの項目を前倒しで実施することを明らかにしたほか、「中長期」にかかわる項目を詳細化した。前回、6項目あった「短期」については08年12月にプロジェクトが終了したとして、計画表から記載がなくなった。

 中期プロジェクトでは、企業が合併した際の「のれん」の償却方法の変更や、新しい利益の考え方である「包括利益」の採用について、10年中に会計基準や適用指針を公表する。従来、IFRSとの差異を埋めるコンバージェンスは「11年6月までに実施する」としていたが、前倒しにした格好だ。

 中長期プロジェクトは「IFRSでも今、まさに会計基準を作成中」(ASBJ)の項目を対象にしたもの。日本企業に影響が大きいとされる退職給付のオンバランス化や、金融商品の会計処理の変更については、2011年に会計基準や適用指針を発表することを示した。「一般に、会計基準が発表されてから適用になるまで1年程度の猶予をみる」(西川委員長)ことから、日本で退職給付の新会計基準が適用になるのは13年3月期以降の可能性が高そうだ。

 そのほか「収益認識」の概念や「財務諸表の表示方式」についても計画を示した。ただし「IFRS自体が大きな変更を計画している」(同)ため、変更の可能性があるとASBJは言及した。IFRSと米国会計基準のコンバージェンスが11年6月に終了することから「両者の動向を見極める」とASBJはいう。

 IFRSへのコンバージェンスを進める一方で、日本は2015~16年にIFRSを日本の会計基準そのものとして採用する強制適用(アダプション)を実施する計画だ。西川委員長は、「日本の立場は比較的はっきりしており、IFRSの作成についても意見を主張していきたい。ASBJのスタッフをIFRSの作成団体に派遣するなど、コミュニケーションを重視している」とした。