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 三菱UFJ証券の顧客情報約148万人分を不正に取得したなどとして、不正アクセス禁止法違反と窃盗の罪に問われた同社システム部の部長代理だった元社員(4月8日付で懲戒解雇処分)に対する初公判が、2009年9月9日に東京地裁で開かれた(関連記事1関連記事2関連記事3関連記事4関連記事5関連記事6)。被告の元社員は起訴内容を認めた。今回の公判では、情報漏洩による三菱UFJ証券の損失額が、70億円以上になることも明らかになった。

 検察側は証拠の一つとして、事件の影響によるとみられる損失額の試算を提出した。三菱UFJ証券は、148万人のうち情報が流出した約5万人に対して、「お詫びのしるし」として1万円相当のギフト券を6月下旬から発送。この費用が約5億円と述べた。このほか、事件調査や顧客からの問い合わせ対応、顧客情報の売却先となった業者と交渉するための弁護士費用、機関投資家からの発注減少による逸失利益などを合算すると、約70億3500万円になるとした。

 三菱UFJ証券の専務が意見陳述し、「一番の損害は目に見えない信用の失墜である。社会的な信用を傷つけられ、金銭では換算できない損失を被った」と強調。元社員に対して「厳重な処罰を求める」と述べた。

 元社員は2009年1月26日、利用権限が抹消されていなかった従業員のIDを使って、顧客情報を管理するサーバーに不正アクセス。顧客情報のファイル名を変更し、オペレータに対して「正常な業務である」と偽り、CD-Rに記録させ、それを自宅に持ち帰ったとされる。元社員は約500万円の借金返済の目的で、4社の業者に対して顧客情報を13万円で売却。また別に不正取得した企業情報を20万円で売却した。顧客情報はこれまでに98社に転売されたが、このうち70社からはいまだに回収できていないという。