SAPジャパンは2009年9月15日、顧客企業のIFRS(国際会計基準)への対応支援窓口である「IFRS支援室」を設立した。営業、サポート、コンサルティングといった異なる部門の担当者15人が横断的に集まり、IFRS関連の情報発信や対応の研究を担当する。ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部の桐井健之副本部長は「先行してIFRSを適用した欧州の顧客や当社自身のノウハウを共有して、顧客に対応する担当者の知識レベルを上げていく」と狙いを話す。
SAPジャパンはまず、IFRS関連の質問に対する回答窓口をIFRS支援室に統一する。新規顧客か既存顧客かは問わない。「担当者によって回答がバラバラになることを防ぐ」(桐井副本部長)のが目的だ。このほか、社内で顧客からの質問に対する回答を作成するといった作業を担う。桐井副本部長は「IFRS対応ではJ-SOX(日本版SOX法)の時と比べ、顧客企業の意識が大きく異なる。経営課題だと、とらえる企業が多い。当社もJ-SOX対応の時は、今回のような横断的な組織を作らなかった」と説明する。
独SAP自身も現在、IFRS対応を進めている最中だ。04年にIFRS対応プロジェクトを立ち上げ、09年にはこれまで利用している米国の会計基準に基づいた財務諸表と、IFRSに基づいたものの両者を公表する計画だ。「投資家からの意見を聞き、米国基準で財務諸表を公表している競合企業との比較可能性を担保する」(GRC/EPM事業開発部の中西正部長)ためだ。IFRS支援室は、こうした独SAPや子会社としてIFRSへの対応を進めているSAPジャパンの経験も顧客企業に提供していく。