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写真●ITU TELECOM WORLD 2009のフォーラムに登壇したNTTドコモの山田隆持社長
写真●ITU TELECOM WORLD 2009のフォーラムに登壇したNTTドコモの山田隆持社長
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 端末やサービスなどが国を超えてグローバライゼーションの恩恵を受ける一方,通信サービスは個々の国の文化に合わせたローカライゼーションが必要になる。これは,海外展開を進める通信事業者が必ず直面する大きな課題だろう。2009年10月7日,スイスのジュネーブで開催中のITU TELECOM WORLD 2009に各国の大手通信事業者のトップが集って,「グローバライゼーションとローカライゼーション」のテーマでフォーラムが開催された。このフォーラムに登壇したNTTドコモの山田隆持社長(写真)は,「通信事業者はグローバルなサービスやアプリケーションを,ローカルな需要に適用させる役割。いわゆる“グローカライゼーション”の役割を期待されているのではないか」と語った。

 山田社長は,下位レイヤーのインフラ技術は,グローバル化の恩恵を大きく受け,コスト削減やパフォーマンスの改善が進んでいると語った。特に3GやLTEは,世界の事実上の標準になっているため,その恩恵は大きいという。一方,上位レイヤーのサービスは,「国が違えば別の文化になるので,グローバル化は難しい」(山田社長)とした。例えばドコモは,プッシュ型の情報配信サービス「iチャネル」を同社が出資するインドのタタ・グループでも開始しているが,「日本のサービスをそのまま持っていくのではなく,インドで人気のクリケットの情報を10分おきに配信している」(山田社長)という。

 上位レイヤーのサービスは,米グーグルなどのインターネット系プレーヤーが続々と新しいサービスを投入しており,競争も激しい。このため,通信事業者は単なるダムパイプになる可能性もある。この点について山田社長は,「通信事業者は常にユーザーと接点を持つ恵まれた地位にある。グローバルなサービスをローカルな需要に適用させやすい立場にある」と,通信事業者ならではの強みを強調した。さらに「端末とネットワークがコラボレーションするようなサービスも進めたい」と続ける。これは,新たなサービスを作る時にネットワーク側で処理するような形だ。遅延の少ないLTEを導入することで,このようなサービスを提供しやすくなり,通信事業者ならではの新たなサービスの形を打ち出せると説く。

 このフォーラムには,ほかに英ボーダフォンやスペイン・テレフォニカ,サウジ・アラビアの通信事業者であるSTCグループ,エジプトの通信事業者であるオラスコム・テレコムのトップなども登壇した。だが,ドコモほど具体的な取り組みを説明する事業者はなかった。日本の携帯電話市場が世界に先駆けて成熟期に入ったことから,課題にもいち早く直面しており,それに対する解決策の取り組みも一歩先に進んでいることを実感できた。