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「コミュニティが育て,ユーザーに自由を与える」まつもと氏

まつもとゆきひろ氏
まつもとゆきひろ氏
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Linus Torvalds氏(左)とまつもとゆきひろ氏(右)
Linus Torvalds氏(左)とまつもとゆきひろ氏(右)
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 続いて,Rubyの作者であるまつもとゆきひろ氏が「UNIX+OSS+Ruby」と題し基調講演を行った。まつもと氏が使っているパソコンのOSはDebian GNU/Linux。まつもと氏はRubyを,UNIXからLinuxと一貫してUNIX系OSの上で開発してきた。

 UNIXの哲学に共感しているとまつもと氏は言う。UNIXの哲学とは,「自由に拡張でき,ありとあらゆる面でプログラム可能なこと」(まつもと氏)だ。このような哲学の上で,Linuxを始めとするオープンソース・ソフトウエア(フリー・ソフトウエア)が育った。「フリー・ソフトウエアがなければRubyはなかった」(まつもと氏)。

 Linuxがそうであるように,Rubyも多くのプログラマによる協力で開発されている。「Rubyのコミッタ(ソースコード変更権限を持つメンバーは)60人以上いるが,3分の1は会ったことがない。どこの国か分からない人もいる」(まつもと氏)。

 コミュニティによって育てられてきたこと,ユーザーに自由を与えたいと願っていること。こういったUNIXの哲学を,LinuxもRubyも共有しているのではないか,とまつもと氏は語った。

「マス・コラボレーションがすべてを変える」,ウィキノミクス共著者Williams氏

ウィキノミクス共著者Anthony Williams氏
ウィキノミクス共著者Anthony Williams氏
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 続いて,「ウィキノミクス」の共著者であるAnthony Williams氏が「How Mass Collaboration Changes Everything(マス・コラボレーションがすべてを変える)」と題した基調講演を行った。ウィキノミクスは,Wikipediaとエコノミクス(経済)を合わせた造語で,Wikipediaに代表されるインターネット上の不特定多数による共同作業「マス・コラボレーション」が,企業の研究開発などのあり方を変えていくと指摘した本。

 Linuxはこのようなマス・コラボレーションの代表的な成功事例である。Williams氏は,米P&GがInnocentiveという研究開発市場サイトで世界中から研究者の知恵を集めている例などを紹介。政府,電力網やヘルスケアなどさまざまな分野でこのようなマス・コラボレーションによる変化が起きていると指摘した。

60を超える技術セッション,日本人も英語で講演

カーネル開発者によるパネル・ディスカッション。左からLinux Foundation CTOのTed Ts'o氏,LWN.netのJonathan Corbet氏,GoogleのAndrew Morton氏,Novellの岩井隆氏とTejun Heo氏
カーネル開発者によるパネル・ディスカッション。左からLinux Foundation CTOのTed Ts'o氏,LWN.netのJonathan Corbet氏,GoogleのAndrew Morton氏,Novellの岩井隆氏とTejun Heo氏
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 Japan Linux Symposiumでは,Linuxカーネルに関する技術的な,60を超えるセッションが行われた。日本人として発表したのは慶應義塾大学の吉藤英明氏,フリーソフトウェアイニシアティブ(FSIJ)理事長の新部裕氏,日立製作所の早坂光雄氏,青木英郎氏,河合英宏氏,橋本尚氏,小幡昇氏,NTTサイバースペース研究所の小西隆介氏,東芝デジタルメディアネットワークのほんまとおる氏,富士通の亀澤寛之氏,NECの柴田次一氏と海外浩平氏,辻篤史氏,ミラクル・リナックスの寺島広大氏,NTTデータの原田季栄氏,半田哲夫氏,沼口大輔氏,三浦広志氏,NECアメリカの池田宗広氏,インテルの酒元幹夫氏,ルネサスソリューションズの宗像尚郎氏,VA Linux Systemsジャパンの山幡為佐久氏と鶴田亮氏,ソニーの上田理氏ら。

 技術セッションの講演はすべて英語で行われた。多くの日本人にとって英語での講演は低いハードルではないが「そうしなければ世界に通じる技術者にはなれない」と,The Linux Foundation Japanディレクタの工内隆氏は言う。

「コードの共有がイノベーションを促進」,Bottomley氏

NovellのJames Bottomley氏
NovellのJames Bottomley氏
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 クロージング・キーノートとして,LinuxカーネルのSCSIサブシステムのメンテナである米NovellのJames Bottomley氏が,オープンソースへの貢献が生む経済的な価値をテーマに講演した。

 Bottomley氏は,共通のプラットフォームをオープンソース・ソフトウエアとして共有することによって,差別化につながらない領域のコストを下げることができ,ユニークなイノベーションにリソースを振り向けることができると指摘。

 またイノベーションを起こすためにもソースコードの共有は有効であると言う。「それぞれが別々に開発していては小さな流れでしかない。コードを共有することによってそれはイノベーションへと向かう河になる」(Bottomley氏)。

■変更履歴
掲載当初「NECの(中略)小幡昇氏」としていましたが,小幡昇氏は日立製作所勤務です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/10/27 20:00]