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写真●リクルート執行役員の藤原章一氏
写真●リクルート執行役員の藤原章一氏
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 「ITpro EXPO 2009」2日目の基調講演に登壇したのは、リクルート執行役員の藤原章一氏だ。本講演は「CIOオブ・ザ・イヤー2009」受賞記念である。同賞は、月刊誌「日経情報ストラテジー」が企業のIT(情報技術)活用を推進し、経営改革の一翼を担うCIO(最高情報責任者)の重要性を世に広め、ふさわしい活躍をした人をたたえるために毎年選出しているものだ。2003年に始まって、今年で7回目となる。

 リクルートは2009年3月期に連結売上高1兆839億円、同経常利益1124億円を確保。リーマンショック以降も高い利益水準を維持している。藤原氏はそんな同社で318人が所属するIT部門、MIT(Marketing & IT United)を率いてきた。講演ではまずMITの特徴として、「ビジネスに直結するシステムが大半を占める」「多少の無駄が生じても全社最適より現場を優先させる」「IT予算は明確に持たない(予算の上限に縛られず、良いプランはやり抜く)」という3つを挙げた。

 そして、藤原氏は4つのステップに分けてMITの取り組みを紹介した。最初のステップでは、2000年4月の設立(当時の組織名はFIT)以降、インターネット普及という大きな流れに対してITマネジメントの基盤作りに注力したという。各カンパニーに分散していたシステム担当者を集約して中央集権型の組織を作る一方で、独自のプロジェクトマネジメント手法「SPIDER」を確立した。

 ステップ2は、IT部門としての存在意義の見直しだ。2004年に全員参加の合宿を敢行して、IT部門のあるべき姿を徹底的に議論。その後、有志と藤原氏による100時間のミーティングを経て、翌2005年にFITの存在意義を「Real IT.(リアルイット)」として明文化した。またReal IT.を実現する理想的な人物像を6つ提示し、それぞれのロールモデルに必要な能力を「スキルシンフォニー」というハンドブックに明記している。

 ステップ3として、藤原氏はITを基軸としたビジネスの仕掛けについて語った。インターネットの普及によっては多くの情報誌を抱えるリクルートにおいて、「ゲームのルールは変わった」という。そこで、「小さく産んで育てる」「独自、自前主義から脱却」などの方針を打ち出した。具体的には、短期間でコストをかけずにシステムを構築するフレームワーク「SWAT」を活用した。過去2年で案件数は47に上ったという。ほかにもページビューあたりのネットインフラの構築コストを従来の3分の1にとどめる「RAFTEL」や、ベンチャー企業をベンチーマークしてコストを10分の1まで押し下げる「LCF」といった開発手法を採用していることを明かした。

 4つ目のステップでは、ネット上のマーケティングの重要性の高まりについて言及し、今年4月にFITにIMO(Internet Marketing Office)という組織を加えて、MITへと組織再編した経緯を語った。講演の最後には大型のシステムプロジェクトの責任者を任された若手社員の奮闘を伝える紹介ビデオを流したうえで、「人が本気になったときの力はすごい。そんな場面に何度も立ち会ってきた。経営とITはこれからもっと近づく。その意味を本当に理解する人材を増やしていきたい」と締めくくった。