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写真●日経コンピュータの目次康男記者
写真●日経コンピュータの目次康男記者
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 「今,潮目が変わっている。ITを生かす時期に入った。IT部門に対する期待は大きい」。日経コンピュータの目次康男記者は,ITpro EXPO 2009展示会(10月28~30日に東京ビッグサイトで開催)で,日経コンピュータが実施した様々な調査を例に引きながら,これからのIT部門のあり方についてこう訴えた(写真)。講演のタイトルは「2010年,IT部門はこう動く」である。

 潮目の変化は,日経コンピュータが実施しているIT投資動向調査から読み解くことができるという。例えば新規開発分野のIT投資DIは,2009年4~9月にはマイナス14.2と振るわなかったが,7~9月に2.9とプラスに転じ,10~12月(予想)も2.7と堅調である。

 さらに,今春実施した調査からは「経営者は景気が底を打つ半年前から攻めのIT戦略を立案したいと考えていることが読み取れる」と,目次記者は話す。それを踏まえれば「今の新規開発分野のIT投資DIの動きは,既に景気の反転を見込んで攻めのスタンスに変わりつつあるとみることができる」。

 では,どの分野への投資を拡大するのか。「一言で言えば,売り上げや利益に直結する分野に注目が集まっている」。日経コンピュータの調査では2009年度下期の重点IT投資分野のトップは「営業・販売系」だった。「目先の合理化や省力化だけを考えていたら取り残されてしまう」と目次記者は強調した。

 このような時期にIT部門に期待される役割は大きい。ところが経営層からは,「期待ほどには,ITは効果を生み出せていないとみられている」と目次記者は言う。それは,必ずしもIT部門がITの効果を考えていないわけではなく,「CIO(最高情報責任者)がいなかったり,コミュニケーションが悪かったりして,経営層にうまく伝わっていない点に大きな問題がある」と指摘する。

 セッションの後半では,戸川尚樹日経コンピュータ副編集長が登壇。上記の状況を踏まえたこれからのIT部門のあり方を目次記者と話し合った。

 目次記者は「これからIT投資が回復するにしても,2010年に2007~8年のレベルを大きく超えるレベルにはならないだろう。そこで求められるのは“半分”発想だ。時間・コスト・工数をドラスティックに見直す必要がある。単なるコストカットではなく,新しいことをやるための余力を生み出すための取り組みだ」と主張した。

 一方,戸川副編集長は「元気な企業に共通するのは新しいことをやっていること。情報感度を磨き,製品や技術をどう駆使すれば新しいことができるのかを考えることが大事だ。海外のシンポジウムなどを見ても,日本のユーザー企業の参加はあまり多くないように思う」と指摘し,IT部門の奮起をうながした。

■変更履歴
本文3段落目で「契機が底を打つ」とあったのは,「景気が底を打つ」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2009/10/29 19:00]