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 「1人3分で2010年のイチ押しサービスをご紹介ください」。そう声をかけられた国内モバイル・キャリア5社の法人担当幹部が「やっぱりiPhone」「携帯のGPSをPCで使う」「省電力で人に優しい」と舌戦を繰り広げる。「ITpro EXPO 2009」展示会2日目の2009年10月29日,「2010年のエンタープライズ・モバイル」と題して開かれたパネル討論の一幕だ。

 パネリストとして登壇したのは,イー・モバイル執行役員副社長の阿部基成氏,ウィルコム ソリューション営業本部副本部長の大川宏氏,NTTドコモ法人事業部ソリューションビジネス部長の中西雅之氏,KDDIソリューション事業本部ソリューション推進本部副本部長の有泉健氏,ソフトバンクモバイル執行役員法人事業推進本部本部長の安川新一郎氏の5氏。モデレータは日経コミュニケーションの松本敏明編集長が務めた。

速度でイーモバ,インフラでNTT,端末でSBM

 パネル討論では,(1)データ通信の高速化,(2)端末のオープン化と高度化,(3)音声通話サービスとの連携,という大きく3テーマについて各社が自社サービス/製品のポイントを提示。最後にそれら中長期の計画のエッセンスとして,2010年一押しの企業向けサービスを披露した。

 (1)の高速化は,下り21Mビット/秒のデータ通信サービスを提供中のイー・モバイル阿部氏が「いずれは固定通信と無線通信を同等の速度とし,屋外や駅でもオフィスの快適さを実現したい」と発言。この10月に双方向20Mビット/秒のWILLCOM CORE XGPの提供を始めたウィルコムの大川氏は「実効速度で下りが13.5M,上りが9.08Mビット/秒は出る。RTT(パケットの往復時間)は30ミリ秒とレスポンスも良い」とマイクロセルであるXGPの利点を挙げた。

 携帯電話事業者大手3社は,NTTドコモ中西氏が「7.2Mビット/秒のHSDPAエリアの人口カバー率は100%。これに満足することなく,2010年度のLTE展開に向け準備を進めている」とインフラの強さで応じると,KDDI有泉氏はグループ会社UQコミュニケーションズによる最大40Mビット/秒のWiMAXとの補完関係を強調。SBM安川氏は「2010年までHSDPAで7.2Mビット/秒,2011年にDC-HSDPAで43.2Mビット/秒,2013年にLTEで100Mビット/秒」とLTE導入に向けたロードマップを提示した。

 (2)端末のオープン化/高度化は,iPhoneをはじめとするスマートフォンを多機種展開するSBM安川氏が「iPhoneはOSが次々に更新され機能が上がる。詳細は明かせないが誰もが知っている金融機関での導入事例も出始めた」と端末の強みを訴求。KDDIはPCとケータイの機能の住み分けの進行,NTTドコモはスマートフォンOSとiモード端末向けOSの統合,ウィルコムは組み込み通信端末向けの複数年一括払いなどの料金体系の弾力化,イー・モバイルは端末を問わずに同社SIMを利用できる環境の整備などに言及した。

 (3)音声通話は,企業の内線と外線をワンストップ提供するFMCの話題が中心。各氏が携帯電話と固定電話の統合や定額利用サービスを紹介した。

KDDIが携帯-PC連携の自社システムをデモ,ウィルコムは原点回帰

 パネル討論の最後に松本編集長がパネリストに提示したのは「2010年の一押しはこれだ」という1枚のスライド。1社当たり約3分という持ち時間で進行したせいか,まさにエッセンスと呼べるサービスを提示した。

 SBM安川氏は,「『これしかないのか』と言われかねないが,2010年もやっぱりiPhone」と断言。ユーザーとして音楽2000曲,写真3400枚,各種プレゼンテーションや名刺管理ソフトなどが詰まったホーム画面などを紹介しながら,「iPhoneを使って残業が平均32分減った。iPhoneでビジネスを変えてほしい」と訴えた。

 KDDI有泉氏は,「2010年に現場のお手軽ソリューションとしてアピールしていく」という「ケータイワークリンク」をサプライズ・デモ。BREWアプリとWindowsアプリを連携させるミドルウエアを組み込み,ケータイのGPS情報をパソコンで利用するなど,携帯電話とパソコンの連携が簡単に実現できるという。有泉氏は自社の携帯電話機を社員に貸し出す際の資産管理システムを例に,ケータイのカメラで社員証バーコードなどを読み取り,貸出し名簿に登録する手順を実演した。

 NTTドコモ中西氏は,情報家電を携帯電話などから制御する「ケータイホームシステム」を2010年の一押しとして紹介。ホームネットワークの司令塔として外出先から自宅の情報家電を制御するシステムで,インターホンのカメラ映像や火災発生時の警告,ペットの見守り映像などをケータイで受け取れるという。「B2B2Cの製品として,新製品や新サービスの開発に生かしてほしい」(中西氏)。

 ウィルコムとイー・モバイルは,それぞれが持つ強みを再度アピール。ウィルコム大川氏は「2010年はPHSの安心・安全と,M2M(マシン・ツー・マシン)による新ビジネスを前面に押し出す。医療・介護の分野では契約数が純増で,省電力,電力効率の高さ,16万基地局による耐災害性がウィルコムにはある。M2Mでは,情報の収集・蓄積,そしてマイニングを通じて『ウィルコムと組むと儲かる』という評価を得たい」とした。

 イー・モバイルは「2010年秋に現行の21Mビット/秒を倍にした40Mビット/秒超のサービスを提供する。高速化によるフレキシビリティ,セキュリティ,そしてBCM(事業継続管理)を打ち出していく」と宣言。高速なモバイル・ブロードバンドをどう生かすかという問いを来場者に投げかける格好となった。

■変更履歴
公開当初,ソフトバンクモバイル執行役員法人事業推進本部本部長の安川新一郎氏の名前を間違って記事を掲載していました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/10/30 10:40]