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左から米ロックユーCTO兼創立者のジア・シェン氏、英プレイフィッシュVP兼GM Chinaのアー・マック・グローン氏、中国レクーメディアCEOのリュー・パトリック氏
左から米ロックユーCTO兼創立者のジア・シェン氏、英プレイフィッシュVP兼GM Chinaのアー・マック・グローン氏、中国レクーメディアCEOのリュー・パトリック氏
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 ネットベンチャーの経営者らが集まる招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2009 Fall」の2日目となる2009年11月13日、「世界を席巻するソーシャルゲーム企業」と題したセッションが行われた。英プレイフィッシュVP兼GM Chinaのアー・マック・グローン氏、中国レクーメディアCEOのリュー・パトリック氏、米ロックユーCTO兼創立者のジア・シェン氏の3人が登壇し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で展開するソーシャルゲームの特徴や課題、利用者獲得の戦略などを議論した。

既存のゲーム会社と作り方が異なるソーシャルゲーム

 米国時間11月9日に米エレクトロニック・アーツ(EA)に約3億ドルで買収されたプレイフィッシュ。「事業拡大のために必要な人員や資金といったリソースが得られるメリットは大きい」という同社VP兼GM Chinaのアー・マック・グローン氏が、ソーシャルゲームの特徴を説明した。

 「音楽や映画のエンターテインメント業界において、人々は抱く感情に対して対価を払っている」と述べたグローン氏。その中でもゲームは特に、人々の感情の刺激にたけていると説明した。同氏が「ソーシャルエモーション」と呼ぶ、愛情、ねたみ、プライドといった感情は実際の人間関係の中で特に強く感じる感情で、ソーシャルゲームの設計に強くかかわっているのだそうだ。

 「実際の人間関係を基にソーシャルゲームを構築することに注力してきた」(グローン氏)。これは開発手法が、既存のゲームとは大きく異なることを示している。既存ゲーム会社はゲームにおける“ルール”作りに注力したゲーム開発を行うのに対し、「ソーシャルゲームでは“ルール”は特に重要ではない。むしろ友達との間でどこの位置に自分がいるのかということを意識させる要素を取り込むことが重要だ」(アー氏)とした。

日本ユーザーの価値は米国の2倍

 一方、ソーシャルゲームを「mixiアプリ」にいち早く投入したロックユーのシェン氏は、日本市場に対する期待にも触れた。「Facebookはとにかくユーザー数が多い。mixiは規模では及ばないものの、ユーザー自体には2倍の価値がある」と主張。その背景には日本のユーザーがゲームに対して非常に親近感を持ち、ゲームに対する投資意識が強いということがある。シェン氏は、日本のユーザーは米国のユーザーと比べて、2倍ぐらいお金を使うとみているようだ。

 ただ、シェン氏は中国市場に対しては懸念も示した。「中国は“オープン”という概念が違う。特にゲームをコピーする人間(競合企業)が多い」(ジア氏)とし、市場規模の大きさには期待するものの、現時点ではデベロッパーがゲームを提供する市場としてはあまり適さないのではという考えを示した。

 「サンシャイン牧場」がmixiアプリで大ヒットしたレクーメディアのパトリック氏は、自身の体験からソーシャルアプリの可能性を述べた。

 それは、パトリック氏自身が来日して空港からのシャトルバスに乗っていたときのこと。最後尾に座ったパトリック氏は、すぐ前の席の人がサンシャイン牧場を遊んでいたのを見かけたそうだ。言葉は分からないがうれしくて、すぐに指さしてコミュニケーションが取ったことを例に、「(外国人同士だと)ソーシャルゲームは言葉を使ったコミュニケーションを取ることはできない。しかし、スクリーンを指さすだけでもコミュニケーションが取れる利点もある」(パトリック氏)と述べ、ソーシャルゲームが持つ可能性の大きさについて触れた。

 同社のサンシャイン牧場は北米やロシア、韓国、東南アジアにも展開しており、「1300万人のDAU(Daily Active User)を確認している」(パトリック氏)という。

マーケティング費用はソーシャルゲームに必要?

 ソーシャルゲームで成功する3社だが、いかに普及させるか、その点では異なる意見が展開された。

 ロックユーのシェン氏は、「我々は広告利益の50%をマーケティング費用として投下している。初期の段階だと10万ドルくらいの投資をすればうまくいく」と主張。一方、レクーメディアのパトリック氏は、サンシャイン牧場が一切のマーケティング費用を投下せずにクチコミだけで広がったことが重要だと主張。「むしろユーザーをどうキープしていくか、プロダクトを良くしていくことに費用をかける」とし、今後もマーケティング費用を投下する考えはないと主張した。

 一方、プレイフィッシュのグローン氏は既にいろいろなゲームが提供され、各社がさまざまな投資をしている中で、後発の参入は難しいと指摘。グローン氏は「ユーザーは同じジャンルで違うゲームをわざわざやる必要性が全くない」とし、「いつの時代もトップ2までが利益を上げて、それ以下がもうからないのは同じだ」と主張した。ただ、「誰も手を付けていないフィールドは必ずある。そういったところでの参入を目指すべき」(グローン氏)とも付け加えた。

 海外で先行したSNSのオープン化。海外のソーシャルアプリケーション開発企業は、さまざまなノウハウを蓄積しているようだ。