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写真1●Windows ServerとWindows Azureで共通する分散アプリケーション実行環境「AppFabric」
写真1●Windows ServerとWindows Azureで共通する分散アプリケーション実行環境「AppFabric」
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 顧客企業のデータセンター(オンプレミス)のアプリケーション実行環境は「Windows Azure」に近づき、Windows Azureもオンプレミスに近づいていく。そうすることでクラウドとオンプレミスは、同一のアプリケーションを実行できるようになる---。米マイクロソフトでサーバー&ツールビジネス担当プレジデントを務めるボブ・マグリア氏は2009年11月17日(米国時間)、「PDC09」の基調講演でこのような将来像を示した。

 オンプレミスのアプリケーション実行環境をWindows Azureに近づけるのが、同日発表された「Windows Server AppFabric」(写真1)だ。Windows Server AppFabricは、Windows Azureの特徴であるアプリケーションのスケールアウトや管理が容易である点や、高可用性などを顧客のデータセンターで実現する分散アプリケーション基盤である。

SQL Azureのために開発したVelocityがオンプレミスで利用可能に

 Windows Server AppFabricは、.NET Framework 4.0の「Windows Workflow Foundation」や「Windows Communication Foundation」をベースにアプリケーションを連携させるミドルウエア(開発コード名はDublin)と、「SQL Azure」のために開発した分散メモリーキャッシュである「Velocity」で構成される。複数のサーバーを連携させて物理メモリー空間を生み出すVelocityをデータベースのキャッシュとすることで、アプリケーション層だけでなくデータベース層のスケールアウトが可能になる。

 AppFabricは、Windows Azure側にも存在するようになる。これまで「.NET Services」と呼ばれるWebサービスによってアプリケーションを連携させていた。このサービスを「Windows Azure AppFabric」という名称に変更した。マイクロソフトはWindows Azure AppFabricのベータ版を2010年にリリースする予定である。

 AppFabricがWindows ServerとWindows Azureに共通して存在することによって、同じモデルで開発したアプリケーションを、オンプレミスのWindows ServerとWindows Azureで稼働させることが容易になる。

オンプレミスの仮想マシンをWindows Azureへ

写真2●オンプレミスのWindows ServerをWindows Azureでそのまま動かす「Windows Azure Virtual Machineロール」
写真2●オンプレミスのWindows ServerをWindows Azureでそのまま動かす「Windows Azure Virtual Machineロール」
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 Windows AzureをオンプレミスのWindows Serverのように利用可能になる施策も発表した。Windows Azureの仮想マシンは現在、Webサーバーに相当する「Webロール」とアプリケーションサーバーに相当する「Workerロール」という特殊な2種類のサーバーとしてのみ使える。2010年には「Windows Azure Virtual Machineロール」という、オンプレミスのWindows Serverの仮想マシンをWindows Azureの仮想マシンとしてそのまま利用できる機能を追加する(写真2)。

 既存のアプリケーションをWindows Azure上で動かすためには、WebロールやWorkerロールがキューを通じて連携するというWindows Azureの独特の仕組みに対応させる必要があった。Windows Azure Virtual Machineロールを使うと、既存のアプリケーションをそのまま稼働できるため、アプリケーションの移行がより容易になるとしている。

IPsecを使ってオンプレミスとクラウドを接続

写真3●米マイクロソフトのサーバー&ツールビジネス担当プレジデントであるボブ・マグリア氏
写真3●米マイクロソフトのサーバー&ツールビジネス担当プレジデントであるボブ・マグリア氏
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写真4●オンプレミスとクラウドをセキュアに接続する「Sydney」
写真4●オンプレミスとクラウドをセキュアに接続する「Sydney」
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 マグリア氏(写真3)の基調講演では、オンプレミスのアプリケーションとクラウドを連携させる取り組みについても新発表があった。既にマイクロソフトは、オンプレミスのSQL ServerとクラウドのSQL Azureでデータを同期させる「SQL Azure Datasync」という仕組みを発表済み。SQL Azure Datasyncを使って、SQL Serverのディザスタリカバリ対策(災害対策)を進めている企業もあるという。

 今回の基調講演では「Sydney(開発コード名)」という、オンプレミスのWindows ServerとWindows AzureをVPNで接続するサービスを発表した(写真4)。暗号化にはIPv6のIPSecを使用する。Sydneyを使うことで、オンプレミスで運用するWebアプリケーションを拡張するのに、Windows Azureのリソースを利用するようなシナリオが、よりセキュアな状態で実現可能になるとしている。Sydneyは2010年に提供される予定である。