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写真1●CMOワールドワイド代表取締役CEOの加茂純氏
写真1●CMOワールドワイド代表取締役CEOの加茂純氏
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写真2●左から花王の執行役員MK開発部門統括の小柴茂氏、KDDIマーケティング本部長の村山直樹氏
写真2●左から花王の執行役員MK開発部門統括の小柴茂氏、KDDIマーケティング本部長の村山直樹氏
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 2009年12月3日に開催された「Google Business Day」のパネルディスカッション「マーケティングROI向上の課題と戦略」では、CMOワールドワイド(東京都渋谷区)代表取締役CEOの加茂純氏がモデレーターを務め、花王の執行役員MK開発部門統括の小柴茂氏とKDDIマーケティング本部長の村山直樹氏がパネリストとして登壇した。

 まず加茂氏が、マーケティングROI(投下資本利益率)を向上させるために取り組むべきこととして、(1)施策の効果を分析して次の施策に生かしていく、PDCAサイクルの繰り返しを社内に根付かせる。(2)マーケティングを統括するCMO(最高マーケティング責任者)という役職を設ける。(3)ROIを測定するのに最適な測定手法を導入する。といった、3つのポイントを紹介。その上で、メディアや施策ごとに合ったKPI(重要業績評価指標)を設定していくことが重要になると説明した。

 次に、花王の小柴氏が同社におけるブランド育成の基本的な考え方について説明した。まず、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)という4つのPでブランドをどう育成していくかを重視しているという。「そのために各製品のブランドマネージャーとマーケティング活動について、日々協議を重ね、新たな方法や目標の設定をしている」(小柴氏)と語った。

 また、花王の商品開発のテーマでもある「よきモノ作り」に基づいた活動にも力を注いでいる。テーマの意味を小柴氏は「商品としてのモノ、コミュニケーションを含めたモノ。物という言葉は魂も意味する。心を込めた物作りから生まれた言葉」と説明。商品の開発においては、「情緒価値、機能価値、社会価値といった付加価値を与えることに重きを置いている」と、同社の心構えを紹介した。

 続いて、KDDIの村山氏は消費者行動と企業に求められる変化について、自身の見解を示した。まず消費者は、ブログやソーシャルメディア、価格比較サービスなどで、能動的に販売価格や製品情報を調べるなど、「デジタルメディアの普及によって賢く商品を選択するようになってきた」と説明。そうした状況では消費者主体でブランド作りが行われており、企業がブランドをコントロールすることに限界がきているという。

 クチコミが一気にデジタルメディア上を駆け巡る。そういった現状を村山氏は、「双方向マーケティングの時代」ととらえており、接客や製品を含めて、いろいろな付加価値を付けて、消費者に価値の高い体験を提供することで消費者にマーケティングをしてもらうことを目指している説明。従来のどのメディアにどういう広告を出稿するかというメディアプランニングではなく、自社サイトやPRも含めて統合的に消費者とのコミュニケーションを考える、コミュニケーションデザインの構築が最重要課題になっていることを明かした。

新たな市場の芽を見つける必要がある

 次に、加茂氏が「花王ではROIを向上するためにどのように取り組んでいるか」と小柴氏に質問を投げかけた。同社では、より市場に合った新商品の開発をするための市場調査に力を入れているという。先述した3つの付加価値のある商品を開発した上で、「流通、企業、消費者それぞれにメリットが出るようにコントロールすることがマーケティングである」(小柴氏)と回答した。

 そのためにも、商品を開発する研究所に魅力のある商品開発を強く促すのではなく、市場の可能性を見つけることが重要になるという。具体的には、若年層を中心により安価なものを使うようになってきており、化粧品事業は市場が縮小傾向にある。それが、なぜ起こっているかを究明して、新しい市場の芽を見つけなければならないと指摘した。

 続いて加茂氏は、「KDDIでは、広告代理店などのパートナーとの関係性を再度見直していると聞いたが、その背景には何があるのか」と村山氏に問いかけた。

 村山氏は、マーケティングは商品開発などの川上から深く取り組まなければならないという考えを持つ。そこで、早い段階から広告代理店とはメディアプランニングだけではなく、パッケージデザインなどまで総合的に取り組んできたという。ただ、「キャンペーンごとにサイト運営の主体となるパートナーが異なるため、統合的に効果を判断するのが難しい」(村山氏)と現状と課題を明かした。そうした、「施策、サイトごとのさまざまなデータを統合的に分析して、(次の)施策に生かすことができる代理店が必要な状況だ」(同氏)と、広告代理店にも変革を求めていることを示した。