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 セールスフォース・ドットコムは2009年12月15日、同社のクラウド基盤サービス「Force.com」をパートナー企業名義で販売できる制度「OEMパートナー・プログラム」を開始した(関連記事)。NECや富士通、日立ソフトウェアエンジニアリングなどが、さっそくパートナーに名乗りを上げた。

 セールスフォース側でパートナー企業との実務折衝を担ったのは、御代茂樹アライアンス事業本部シニアディレクターである。この人選から、セールスフォースがOEM事業に本腰を入れている姿勢が見て取れる。御代氏はマイクロソフトでWindowsのマーケティングを長く勤めた人物。日本のIT市場におけるOEM事業の勘所や、パートナーとなるISV(独立系ソフトベンダー)やSI企業の要望・不満を熟知している。

 御代氏は一大ブームを巻き起こしたWindows 95をはじめ、Windows 2000、Windows XPなど、今のマイクロソフトの地歩を決定付けるWindows製品の日本市場投入を手がけてきた。ここ数年はERPやCRMといった「Dynamics」の日本投入やパートナー企業との協業事業を担当していた。そして今秋、セールスフォースへ転じた。

 「パートナー育成はセールスフォースにとって大きな課題であり、サービス事業の大きな柱だ。これまでは直販が主体だったが、これからはパートナーモデルで事業を広げる」。同社の保科実 常務執行役員アライアンス&サービス統括本部長は、今回のOEM制度の意義をこう語る。保科常務自身、日本オラクルでパートナー事業を長く手がけてきた。

 セールスフォースがパートナー事業強化に舵を切る理由は、同社のSaaSやPaaSの利用形態が、2010年には次の段階に進むとみているからだ。具体的には、企業内の既存システムや他のクラウドサービスとの連携・統合である。

 セールスフォースのSaaSやPaaSで構築した情報系システムと社内の基幹系システムを連携させて、ワークフローを構築する。機能やデータ処理量に応じて、他のクラウドサービスとセールスフォースを使い分ける。あるいはパッケージソフトをセールスフォースのPaaSに移植して企業へ導入する。これらのシステム構築作業は、いずれもセールスフォース単独では不可能だ。

 「クラウドがコスト削減や柔軟なシステム構築に有用なのはわかる。でもデータを外部に預けるのは不安だし、基幹系システムを乗せるわけにはいかない」。こう考えて様子見の姿勢でセールスフォースのSaaSを単独で導入した企業に、より本格的な業務システム構築で使ってもらう。セールスフォースのOEM制度開始は、こうした狙いがある。その要であるパートナー企業との折衝役に、マイクロソフトでWindows伝道師を長く務めた御代氏を充てたというわけだ。