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 総務省は2010年2月19日,700/900MHz帯を使用する移動通信システムの技術的条件を専門的に調査する「700/900MHz帯移動通信システム作業班」(以下作業班)の第2回会合を開いた。この会合では,クアルコムジャパンが国際標準に沿った割り当てを提案したのに対し,NTTドコモとKDDIは自社への周波数割り当てを主張した。

 700/900MHz帯とは,地上デジタル放送への完全移行で空く700MHz帯と,第2世代携帯電話(2G)の終了に伴う周波数再編によって空く900MHz帯のこと。総務省はこの700M/900MHz帯を携帯電話などに割り当てる方針を示している。利用が可能になるのは,地デジへ完全移行した1年後,周波数再編が完了する2012年7月から。この帯域は,建物内などに電波が通じやすく移動体に向くことから「黄金の周波数帯」とも言われ,携帯電話事業者各社がかねてから獲得の意志を示してきた(関連記事)。
 
 作業班は,親会である携帯電話等周波数有効利用方策委員会が1月21日に開催した会合で設置が決まった。第2回から第4回の会合にかけて,700/900MHz帯の移動通信システムに期待される機能や基本的な要件を調査するために,希望する事業者がプレゼンテーションを実施する。今回はNTTドコモとKDDI,クアルコムジャパンの3社が700/900MHz帯に対する考え方を示した。

クアルコム「国際標準と不一致,国際協調すべき」

 クアルコムジャパンは,現状の700/900MHz帯の周波数計画は国際的な協調が取れておらず,このままでは日本が孤立する恐れがあると指摘。700/900MHz帯の割り当て案を見直し,もっと国際的に協調が取れた形にするべきと訴えた。

 総務省が700/900MHz帯の割り当てに対する現在の骨格を固めたのは,他国と比べてかなり早い2002年ころ。アジア各国では,最近になってアナログ放送跡地の周波数割り当てを始めたところで,アジア太平洋地域の無線関連の標準化団体である「AWF」(APT Wireless Forum)において協調に向けた議論が進んでいる。AWFでは700MHz帯を中心に現在5つの割り当て案が出ているが,そのいずれも日本の700/900MHz帯の割り当て案とは一致しないという。

 同社は,700MHz帯については日本もAWF案を基本とすべきで,必要であれば日本の案も出すべきとした。一方,900MHz帯については,国際的に浸透しつつあるUMTS900(アップリング880-915MHz,ダウンリンク925-960MHz)に合わせてはどうかと提案した。

 ただし,同社の案を実現するには,現時点で700MHz帯を使用している放送中継用のFPU(Field Pickup Unit)装置やITS(高度道路交通システム),900MHz帯を使用しているパーソナル無線やMCA無線の移動が必要になる。作業班は技術的条件を検討する場であり,周波数の利用方針を議論する場ではないものの,事務局である総務省の移動通信課は必要であれば他の会合と連携する考えも示している。そのため700/900MHz帯の周波数利用方針の見直しの可能性も見えてきている。

NTTドコモとKDDIはトラフィック対策のための割り当てを希望

 NTTドコモとKDDIは,いずれも周波数利用の国際的な協調にほとんど触れずに,700/900MHz帯の自社への割り当てを主張した。

 NTTドコモはパケット定額制の浸透や端末の高度化,コンテンツのリッチ化に伴って,データ・トラフィックが急増している傾向を説明。2003年から2009年の6年間で約15倍に増加し,特に動画データが急激に伸びているという。そのことから周波数の追加割り当てが必須であり,「当然700/900MHz帯を有効活用したい」(NTTドコモ)とした。また限られた周波数を有効活用するために,ガードバンド幅をできるだけ小さくしたり,LTEのような周波数有効利用率の高いシステムを検討すべきとした。

 KDDIもドコモと同様に,携帯ネットワークのトラフィックが急増している状況を紹介。同社のトラフィックの需要予測では「保有する45MHz×2の帯域では,2015年以降に周波数が枯渇する」(KDDI)という。そこで700/900MHz帯を活用したいとした。なお導入方式は国際協調性,設備投資の効率性からLTE(FDD)10MHz幅以上とすべきとした。